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2006 ミラノサローネ特集
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三 國 秀 美 : 2006年、新生サローネ
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街にあふれる広告
 

街にあふれる広告。
© TSUKASA



より感覚へ
4月になり、ミラノ入りすると、感覚に直接訴える風景が多いことに気づかされます。青空市場の野菜の色やチーズのにおい、地下鉄や人の集まるところに貼りだされた官能的な広告、そして街のショー・ウィンドウにはフリルがあふれています。今年はことさらに感覚的で、今回ばかりは服を買い、イタリアらしい服装で街へ繰り出しました。
なぜ感覚的なのか。それが今回のテーマです。
日々デジタル化する生活への反動、というのが私論です。
現在、日本の携帯電話契約者数は9千万を越え、普及率はパソコンより高くなりました。都市部を中心に、携帯電話で話し、音楽を聴きながら歩き、非接触型カードで買い物し、家に帰ると、薄型テレビを見る、そんな生活があたりまえになりつつあります。インターネットでコミュニケーションする方法も、メール、チャット、ブログ、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス、招待型コミュニティ、友達同士や同じ趣味・趣向をもつ人々をつなげるサービス)など多彩になりました。ミラノもそう変わりません。街では多くの人が携帯電話を片手に歩いています。
なんらかの機器が生活のいろいろな場面で入り込むと、時間の使い方が変わりそれまでの感覚から遠ざかってしまうという傾向に、デザイナーたちは本能的に気づいています。なんらかの機器をひととモノのインターフェースと呼ぶなら、インターフェースのデザイン、そしてそれが使われる生活のシーンを演出する。前衛ではなく先導としてのデザイン。デジタルを知るデザイナーは敏感に状況を感じ取り、バランスとしての感覚をデザインに取り入れた。そういう家具が目立ったのだと考えます。具体的には「ロマンティック」が今年のトレンドです。去年のネオ・クラッシックの流れがさらに進化し、時代よりも感覚のプライオリティが高くなったと感じました。「ニュー・ロマンティック」は80年代のイギリスを中心とした音楽のトレンドですが、そのテイストが復活するというのは、トリノ・オリンピックが予兆した通りです。
大きく分けて、先導型ロマンティック・デザインと、従来のインスパイア型デザイン、この二つの流れで今年のデザインを見ることにします。


今年のポスター
地下鉄のホームに貼られた有名誌ドムスの今年のポスター。

ジュジャーロのデザイン
街中の公衆電話が使われているところはほとんど見かけない。ジュジャーロのデザイン。代わりにインターネット接続と国際電話が可能な個人ショップが街に目立ってきた。


PANE chair
吉岡徳仁が考える未来の構造は繊維群の組織化による分散化された強度。“PANE chair”は、ナショナル・ジオグラフィック誌の記事から着想しリサーチの結果生み出された。最近インタビューした、引きも切らない檜細工師の三浦 宏が「デザイナーは植物学とかいろいろ勉強することがあるだろ。大事なことなんだよ」と言っていたことを思い出す。パリのポンピドゥー・センターのパーマネント・コレクションに選定されることが決まったばかりである。制作プロセスについては浦田レポートを参照してほしい。この椅子に触れるとき、柔らかな笑顔になるというのは、感覚に近いという証である。
© Nacasa & Partners Inc.



hanabi
形状記憶合金を使い、動きを出した照明“hanabi”。nendoの放つデザインはまさにロマンティック。近年のトレンドを見事に消化している。

polar
同じくネスト・テーブル“polar”。天板に挟まれた偏光板により、花のパターンがマジックのように変わる。デザイナー佐藤は言う。「テクノロジーを使っているけれども、それを前面に出さずに、より人の感覚に近づけたい。」

Heavenly Rain
わかりにくい写真だが、OTOTOのカキハナ・ハジメによる“Heavenly Rain”シャワーヘッド。ここから出る水は霧のように細かい。

エドラ
今年のエドラは最新作を色で触発し、過去の作品を白に塗りなおすことで、コントラストによるロマンティックを狙う。


Corbeille
今年の作品“Corbeille”。フランチェスコ・ビンファーレのデザイン。ハラコのつやとビビッドなフューシャ・ピンクという色の組み合わせが刺激的だ。

ザノッタ社
ザノッタ社も白とロマンティックなパターン模様で目を引く。パーティション“Fiore”のデザインはF・ベルテーロ、A・パント、S・マルツォーリ。“Veryround”椅子は丸のパターンを使っている。ルイーズ・キャンベルのデザイン。

Butterfly
同じくアレックス・タイラーがデザインし日本のE&Yと共同で発表した“Butterfly”テーブル。

Lama
“Lama”チェアはルドヴィカ&ロベルト・パロンバのデザイン。


SCREW
ロン・アラッドのデザインした“SCREW”チェアはドリアデ社から。テクノロジーと詩が融合した作品として、今年のドリアデ・ショップの入り口を飾った。

KADA
ダネーゼ社から発表された“KADA”はチェア・テーブル・物入れのマルチ・タスクをこなす。イヴ・ベハーのデザイン。

By Side XL
ビサッツァ社のモザイクを使った折りたたみ式スクリーン“By Side XL”。デザイナーのパトリシア・ウルキオラはここ数年感覚的なデザインを発表してきた。今年のトレンドに乗り大ブレイク。

PAVO REAL
ウルキオラのデザインで、こちらはドリアデ社の“PAVO REAL”イージー・チェア。職人技を取り入れた、優雅なデザイン。


T-Table
同じくウルキオラのデザインで、カルテル社から発表された“T-Table”。詩的とか女性らしさ、そして柔らかさに通じるエレメントをアクリルで表現している。

Panier
カルテル社に今年の作品から参加したブルーレック兄弟の物入れ“Panier”。透明感と形のバランスが美しい。

Closer
トード・ボーンチェもロマンティック・デザインをリードする。モローゾ社から発表された“Closer”チェア。

Nest
ボーンチェの花柄はトレードマーク。“Nest”チェア。モローゾ社の製品はこの5月からヤマギワが取り扱いを始め、日本でも入手可能になった。


ファビオ・ノベンブレ
イタリアのアツいデザイナーとして、注目が集まるファビオ・ノベンブレ。去年のトリエンナーレで見た“Skybaby”には驚いたが、家具のデザインでは優雅なフォルムを見せてくれる。カッペリーニ社から発表された“RPH”ソファ。

HANAHANA
ドリアデ社から2度目の発表となるステンレス・バージョンの“HANAHANA”フラワースタンド。第一線で活躍する妹島和世のデザインする作品にはやさしい雰囲気が漂い、気持ちが和む。

nami
カロ・デザインが発信するデザインはシャープでありながら詩的なエレメントが漂う。“nami”シリーズの繊細なラインは、影までがデザインとなる。

ウォール・ラック
ウォール・ラックをよく見てみると、ラインが心電図を思わせる。まるで心臓をつかまれるようだ。柔らかさだけではなく、ピリッとくる要素が持ち味である。

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