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鈴木理策
SUZUKI Risaku


[ 略歴 ]
1963   和歌山県新宮市に生まれる。
1987   東京綜合写真専門学校研究科修了。
2000   第25回木村伊兵衛写真賞受賞。
2006   第22回東川賞国内作家賞受賞。
和歌山県文化奨励賞受賞。
東京藝術大学美術学部先端芸術表現科准教授。
2007   立教大学現代心理学部映像身体学科非常勤講師。

[ 主な個展 ]
1990
  「True Fiction」パルコギャラリー、吉祥寺(東京)
1991
  「Sun City」平永町橋ギャラリー、神田(東京)
1992
  「White Sands」フォト・ギャラリー・インターナショナル、虎ノ門(東京)
1993
  「Double Life」フォト・ギャラリー・インターナショナル、虎ノ門(東京)
1994
  「鳥居とその周辺」ポラロイドギャラリー、虎ノ門(東京)
1996
  「15:10 Osorezan」銀座ニコンサロン、銀座(東京)
翌年大阪ニコンサロンでも開催。
1997
  「Izanami」P.G.I芝浦、芝浦(東京)
2000
  「Saskia」P.G.I芝浦、芝浦(東京)
「パイルズ・オブ・タイム」ミノルタフォトスペース、新宿(東京)
大阪、福岡、広島、名古屋、仙台のミノルタフォトスペースにも巡回。
2001
  「鈴木理策写真展」結城市民文化センターアクロス(茨城)
「M.Sugawara天神御霊信仰伝」エプサイト、新宿(東京)
「風を見る 山にさわる」P.G.I芝浦、芝浦(東京)
2002
  「風を見る 山にさわる」Oxydol Gallery/もろみ蔵/ハマヨスタジオ、金沢(石川)
2003
  「吉野桜」Gallery Koyanagi、銀座(東京)
2004
  「唯一の時間」西村記念館、新宮(和歌山)
2005
  「海と山のあいだ」Gallery Koyanagi、銀座(東京)
2006
  「Sakura」Yoshii Gallery、ニューヨーク(アメリカ)
2007
  「熊野、雪、桜」東京都写真美術館、恵比寿(東京)

[ 主なグループ展 ]
1986
  「東京綜合写真専門学校研究科展」オリンパスギャラリー、新宿(東京)
「15Contemporary Photographic Expressions 6th」筑波大学会館別館ギャラリー、つくば(茨城)
1987
  「Photography 87 新しい写真の可能性」世田谷美術館区民ギャラリー、世田谷(東京)
1988
  「15Contemporary Photographic Expressions 12th」筑波大学会館別館ギャラリー、つくば(茨城)
1990
  「第2回PARCO期待される若手写真家20人展」パルコギャラリー、渋谷(東京)
「ハイテック・プランツ写真展」阪神百貨店(大阪)
1998
  「写真の未来学」エプサイト、新宿(東京)
「アートスフィア灰塚1998」灰塚アースワークプロジェクト、三良坂(広島)
「写真の仕草・展」SOKOギャラリー、木場(東京)
2000
  「予兆:アジアの映像芸術展」国際交流基金フォーラム、赤坂(東京)
「現代写真の母型1999IV鈴木理策/吉村朗」川崎市市民ミュージアム、川崎(神奈川)
「The 1st Korea Japan Photo−Biennale」日本大使館広報文化院シルクギャラリー/インディゴ画廊、ソウル(韓国)
2001
  「bit気体分子アートシリーズ2鈴木理策+河田政樹」東京画廊、銀座(東京)
「文化遺産としてのモダニズム建築展in芦屋〈関西のモダニズム20選〉」芦屋市立美術博物館、芦屋(兵庫)
「セゾンアートプログラム・アートイング東京2001生きられた空間・時間・身体」旧新宿区立牛込原町小学校、新宿(東京)
2002
  「日本の新進作家 風景論:平野正樹/鈴木理策/中野正貴」東京都写真美術館、恵比寿(東京)
「写真の現在2:サイト ─ 場所と光景」東京国立近代美術館、竹橋(東京)
「予兆:日本と韓国の映像芸術展」ケルン日本文化会館、ケルン(ドイツ)
2003
  「The History of Japanese Photography」The Museum of Fine Arts, Houston、ヒューストン(アメリカ)
「Keep in Touch:Positions in Japanese Photography」Camera Austria, Kunsthaus Graz、グラーツ(オーストリア)
2004
  「at W vol.1永坂嘉光・鈴木理策 高野_熊野_聖地」和歌山県立美術館(和歌山)、
「横濱写真館」BankART1929、横浜(神奈川)
2005
  「時代を切り開くまなざし 木村伊兵衛賞の30年1975−2005」川崎市市民ミュージアム、川崎(神奈川)
「庭園植物記」東京都庭園美術館、白金台(東京)
「Come Ciliegi in Fiore」Museo del Risorgimento Complesso del Vittoriano、ローマ(イタリア)
2006
  「野田裕示+鈴木理策」和歌山県立美術館、(和歌山)
「縄文と現代 二つの時代をつなぐ『かたち』と『こころ』」青森県立美術館、(青森)
2007
  「Gazing at the Contemporary World : Japanese Photography from the 1970s to the Present」ポーランド写真芸術家協会、ワルシャワ(ポーランド) 海外巡回展(リトアニア他)
「《写真》見えるもの/見えないもの」東京藝術大学大学美術館陳列館、上野(東京)
「日本美術「今」展 ─ 絵画・彫刻・工芸 ─」日本橋三越本店本館、日本橋(東京)
「藝大茶会」東京藝術大学大学美術館陳列館、上野(東京)

[ 2008年展覧会予定 ]
グループ展
2008年1月26日〜3月31日
「建築の記憶」展 東京都庭園美術館、白金台(東京)
2008年5月16日〜9月7日
「Heavy Light : Recent Photography and Video from Japan」展 International Center of Photography、ニュ−ヨーク(アメリカ) 開催後、ロサンゼルス・カウンティー美術館、カナダ国立ギャラリーなどへ巡回。

「熊野、雪、桜」展 展示風景
2007

「熊野、雪、桜」展 展示風景
2007

「熊野、雪、桜」展 展示風景
2007

「唯一の時間」
2004

「熊野、雪、桜」展 展示風景
2007

「White」
2007

「熊野、雪、桜」展 展示風景
2007

「White」
2007
写真による「経験」

昨年(2007年)、東京都写真美術館で開かれた鈴木理策の個展「熊野 雪 桜」は、非常にユニークな展示方法がとられていた。熊野の奥深い森や滝やせせらぎ、それに火祭りの風景などの写真は、黒い壁に薄暗くされた室内のなかで作品だけに光が当たるようにされ、いっぽう、真っ白な雪の風景、および満開に咲いた桜の白いイメージは、部屋全体が眩しいくらいに極限まで白く明るく照らされ、写真と周りの壁の区別が判然としなくなるような展示がなされていた。どちらも、作品と周囲の環境とを一体化させることによって、写真が撮られたときのその場の状況を、そのまま現前化させようとする試みだ、といえるかもしれない。
まるで奥深い森のなかに陽が差し込む一隅がみえるように、暗い中で光に浮き彫りにされた熊野の風景からは、滝の落ちる音や水の流れる音、森を渡る風の感触、水や森の土が醸し出す湿り気の雰囲気、そして何よりも肌が光を掴まえ光を浴びる感じ、が実感できるようだ。また、雪と桜の風景では、まさに眼前に白い風景が広がりそれが観る者の存在全体を包み込むような、あるいは風景と観る者の存在の境界が消失し一体となるような、そのような感覚に襲われる。
写真は風景を切り取るものだ、ということがよく言われ、また写真史や近代視覚文化史の文脈では、写真は機械的な視覚だ、ということがよく言われる。そう考えると、写真は視覚の一断片である、ということになる。しかし写真にはまた別の側面、すなわち、視覚の窓を通じて、全知覚的・全感覚的な、全体的な経験を喚起させる、豊かな鉱脈である、という面もあるのではないか。これは結局、他の知覚と分かちがたく総合されて成り立っている「視覚」とは何か、「知覚」とは何か、そして「経験」とはそもそもなにか、という問題意識に連なるものだが、鈴木理策の作品は、その「時間」的な側面へのこだわりなども通じて、写真の全体的な経験性を明らかにしようという試みなのかもしれない。このことは例えば、やはりセザンヌが自らの絵画に全経験性を注ごうとして描き続けたサント・ヴィクトワール山への道行きを、鈴木が辿りなおして撮影した作品のシリーズなどにも、如実にあらわれているだろう。鈴木の作品は、今日の新しい写真表現のなかでも突出してすぐれた領域を示している。
〜 倉林 靖/美術評論家