- デザインコンセプト
- 担当:鬼木孝一郎/ODS
資生堂の子会社ザ・ギンザの日本初となる旗艦店のファサードおよびインテリアのデザイン。1階のショップ空間、2階の会員制ラウンジ、地下のイベントスペースと、お客様とのコミュニケーションを大切にした多目的な施設となっている。ザ・ギンザの主要な商品である基礎化粧品のように、自分の本来の美しさを再発見できる場所となることを目指し、自らを映し出す「鏡」をさまざまなかたちで施設内に展開させた。
<1F>
あずま通りに面した1階ショップエリアはブランドカラーである白を基調とし、通りに平行に配置された5層の帯状の什器により、開放感と奥行きを感じる構成とした。中央には来店者を店内へと導く斜めにはしる通路を設置。帯状の什器が切り欠かれるようにできた通路は、ザ・ギンザのロゴに採用されている山型を連想させ「ランウェイ」を歩いているような高揚感を与えるものとなっている。
帯状の什器の天板・側面・天井面に「鏡」を使用することにより、シンプルな空間構成でありながら複雑に風景を映し出し、ザ・ギンザの持つ広がりと透明感を感じる空間を目指した。
<2F>
よりパーソナルなサービスを提供する2階エリアはお客様が自由に居場所を発見できるように、大きなワンルームのような開放感を持ちながら、カウンターエリア・リビングエリア・ダイニングエリアと、シーンごとに使い分けができる構成とした。大理石のカウンターや漆喰の壁面などの天然素材を贅沢に使用した店内は、ゆったりとした余白を大切にすることにより、素材のもつ美しさを最大限に引き出すデザインとなっている。また、大きく弧を画く壁面と天井の「鏡」の帯により、異なる質をもつ空間を緩やかに繋ぐ効果を与えている。
1階から2階へとあがる階段室には、壁面を伝う一枚の「鏡」のリボンがお客様を特別な空間へと導く演出がある。
<BF>
展示会やセミナーなどの各種イベントを行う地下エリアは、元々あった2層吹抜け部分を生かし、大きな「鏡」の板が空中に浮いているようなデザインとした。
多目的に使用されることから過剰な装飾は避け、角を丸めた壁面・天井面とその中に浮かぶ鏡面の板により、無限の広がりを感じる空間となっている。ザ・ギンザが発信する新しい試みが世界へと広がっていくイメージを視覚的に表現することを目指した。
設計 | ODS/鬼木孝一郎、藤木景介 |
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用途 | 店舗(1F)、会員制ラウンジ(2F)、イベントスペース(BF) |
計画面積 | 480m2 |
所在地 | 東京都中央区銀座5-9-15 |
竣工 | 2018年11月 |
撮影 | 太田拓実 |