- デザインコンセプト
- 担当:久保都島建築設計事務所
群馬県中之条町の中心市街地の公衆トイレを建て替えるプロジェクト。敷地は林昌寺という、中之条に古くからあるお寺の駐車場の一角である。
中之条ビエンナーレなどもおこなう、“アートの町”のシンボルになるようなものであると同時に、公衆トイレの陰気な雰囲気を無くし、明るく快適なトイレとすることが望まれていた。公衆トイレという性格上、メンテナンスの問題から木材を多用するといった方法ではうまくいかない。そこで、空間の陰影をデザインすることで陰気さを取り払うことを考えた。
通常の矩形のトイレでは空間の角に影ができ、そこに水や汚れ、時には蜘蛛の巣がはって陰気な雰囲気をつくりだす。この角をなくし、トップライトからの自然光が室内の壁をやわらかく照らすことで、明るく快適な空間が公衆トイレでも実現できると考えた。
男子トイレと、多目的トイレ兼女子トイレの2つを円弧形状にし、S字型につなぐことで適度な距離感を作り出し、歩道側と駐車場の二方向からの人の動線を受け止める形にもなっている。10m2にも満たないとても小さな建物であるが、敷地周辺の人や車の流れ、建物の中の快適性、町の中でのシンボル性といったさまざまな要素を統合するかたちとなった。
所在地 | 群馬県吾妻郡中之条町 |
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用途 | 公衆トイレ |
構造規模 | 木造平屋 |
延床面積 | 8.87m2 |
担当 | 久保秀朗、都島有美 / 久保都島建築設計事務所 |
構造計画 | 田村愛 |
コーディネート | 古賀大起 |
施工 | かんな |
竣工 | 2015年8月 |
撮影 | 藤井浩司 / Nacasa&Partners Inc |