空を連想させる青のグラデーションが特徴的なカフェ施設「AOI CELESTIE COFFEE ROASTERY」。地元企業が地域に愛されるランドマークとなる場をつくりたいという思いからつくられた建物です。
同施設の設計を担当したのは、永山祐子建築設計。建物の特徴についてうかがいました。
■背景
「AOI CELESTIE COFFEE ROASTERY」は、名古屋の新栄町駅前、錦通と国道153号線の交差点の角地に建つ、複合コミュニティプレイスのカフェ施設である。名古屋の老舗企業が新規事業として地元貢献のために、地域の人に愛されるカフェを中心としたランドマークとなるコミュニティスペースをつくりたいという思いからはじまった。

錦通と国道153号線の交差点
■コンセプト・特徴
敷地両側には高いマンションが建つ都会のど真ん中、大通り沿いの容積率の高い密集地区の中に、ひらりと空から舞い降りてきたような軽やかな屋根を持つ、中庭を包み込むような建築を考えた。
室内は、地下1層にイベントスペース、地上3層がカフェとなっている。中央の庭の下に地下のイベントスペースがあり、庭の端がめくれ上がることで光を届けている。

地下1層のイベントスペース
大屋根の下の3層にまたがる吹き抜けはカフェ空間となっている。1Fはコーヒーカウンター、厨房、焙煎所を中心とした場所で、一部掘り込まれ、目線に中央の庭を臨む客席が配置されている。
2Fは客席で目の前には中庭のオリーブ林が広がり、都会の喧騒から程よい距離をつくり出している。3Fは大きな屋根に包まれたバー空間で眼下に店内全体、中庭、さらに大通りの賑わいが垣間見える。

3層にまたがるカフェ空間
大屋根は多治見で焼いたオリジナルのタイルによって、空を写すような青のグラデーションが特徴となっている。溝型のボーダータイルに釉薬の厚みによって色の変化をつくり出している。雨の日にはこの溝に沿って雨が庭へと流れ落ちる。都会の中に生まれた余白、周囲の喧騒と切り離された時間を提供している。

多治見で焼いたオリジナルのタイルが施された大屋根
所在地 | 愛知県名古屋市東区東桜2-17-22 |
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設計 | 永山祐子建築設計 |
施工 | TSUCHIYA株式会社 |
構造 | yAt構造設計事務所 |
敷地面積 | 369.08㎡ |
延床面積 | 689.82㎡ |
竣工日(開業日) | 2024年12月13日(2025年2月2日) |
撮影 | 表恒匡 |