なぜか集めてしまう、気になる「雑貨」はありますか？

東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTで、暮らしに楽しみをもたらしてくれる「雑貨」をテーマにした展覧会が開催されています。同展は「雑貨」をめぐる環境や感性をひとつの文化として俯瞰し、その佇まいやデザインの魅力に改めて目を向ける企画です。

会場では、さまざまなジャンルの目利きが選んだ膨大な量の雑貨が並んでいます。雑貨を使ったアート作品やインスタレーションが多く並ぶということではなく、雑貨が純粋に好きな出展者が思い思いのテーマで表現しています。

同展のディレクターは深澤直人さん。「雑貨は日本人にとってカテゴリーとして分類されるくらいの魅力を持っています。今回雑貨が好きな人たちに参加してもらい、その人たちから見た“雑貨”を展示していただきました。かなりの量が並んでいるので、もうこれ以上の雑貨は集まらないのではないでしょうか」と、展覧会について話しました。

ポスタービジュアルは葛西薫さん。「21_21 DESIGN SIGHTの仕事と言うと、少しかしこまってしまうのですが、展覧会のタイトルを聞いた途端に肩の力が抜けました（笑）。仕事というよりもみんなで和気あいあいと楽しく仕事をしたという印象です」

以下、個人的に気になった、魅力たっぷりの雑貨を紹介します。

d mart used「D&DEPARTMENT PROJECTが考えるコンビニエンスストア」／ナガオカケンメイ＋D&DEPARTMENT

ナガオカケンメイさんが率いる「D&DEPERTMENT」がコンビニを考えたらどうなるか？というテーマで商品が陳列された棚。なんと、商品はD&DEPERTMENTの社員などから集められた、家にあるけど使われていなかった生活用品だそうです。集めたものはリ・パッケージされていて、まさにコンビニで売っているかのような印象。

傘やマスク、筆記用具などが多い印象でした。自分の家にもたくさんあるなぁ…としばし考えてしまいます

「d mart」と書かれたシールもこのために作られたそうです

「銀座八丁」と「雑貨」／森岡督行（森岡書店 代表）

「銀座八丁」は、昭和28年当時の銀座通りを撮影した写真帳です。このうち、今も現存する店舗から雑貨を買い求め、展示したという森岡書店の森岡督行さん。並べられた雑貨にはどこかモダンな雰囲気が漂っています。

真ん中に並べられた長い資料が「銀座八丁」。すべて広げると、約4mの長さになるそうです

所々に置かれたルーペをのぞくと、「江戸屋外人雑貨店」など、いろいろな雑貨店の名前がピックアップされています

「資生堂パーラー」の金平糖や、「とらや」の黒文字などが並んでいました

選択物－「台湾その2」／シンプル組合＆RONDADE

台湾で見つけた、奇抜な色や形をした雑貨が並びます。その土地における機能や意味や文脈を取り払ったとしても、モノとしての魅力を感じるか？というテーマが設定されています。「コレ何に使うんだろう？」と思うものが大半ですが、その一つ一つ、もしくは何かと組み合わせて展示されることによって魅力が増しているものもあり、どこか惹かれてしまう展示。

上に乗っかっているのは「ゴム」、下は日本では見たことのないような形の長細い「せっけん」です

台湾で人が亡くなった際に、棺に一緒に入れる「お金」を模したものだそう。ダイレクトに金と書いてあるのがシュール…

雑貨感／保里正人・享子（CINQ,SAML.WALTZ 店主）

吉祥寺にある雑貨店「CINQ」と「SAML.WALTZ」の店主である、保里さん夫妻による“雑貨感”をテーマにした展示。木の椅子やカゴ、ランタン、動物の置物など、温かい印象を与えてくれる雑貨が並びます。

Hook Carpet／WE MAKE CARPETS

オランダの3人組デザイナー「WE MAKE CARPETS」。各国でその土地のものを使ってカーペットを作るというアート作品を作っている彼ら。今回は日本の「ダイソー」の数十店舗を回って集めたフックを使って作品を制作しています。

使用されたフックは1000個以上にもおよぶそうです…！見慣れたフックが文様のようにも見えてくる不思議な作品

松野屋行商／松野屋＋寺山紀彦（studio note）

明治時代に荷車に日用品を積んで販売していた行商の姿を、現代の日用品で再現した作品。そのたたずまいは圧巻です。

見終わった時の感想は、その場で買えないのが残念だなというものでした。「なぜか集めちゃうんだよね」「これだけには目がない！」というこだわりがある人にとってすごく面白い展示なはず。物欲が止まらなくなるかもしれないので注意です。モノひとつひとつの魅力を再発見してみてください。