不動産は実はおもしろい!業界に一石を投じる新たな動き「ニュー不動産展」

不動産は実はおもしろい!業界に一石を投じる新たな動き「ニュー不動産展」

「ニュー不動産展」…そのインパクトの強いイベント名がなぜか妙に引っかかった。公式サイトが公開された7月中旬の時点では、詳細な情報がほとんどなかったにも関わらず、「コレはなにかおもしろいことになるかも知れない」。そんな予感があった。

「ニュー不動産展」って何…?と疑問を持たれるのがふつうだと思うので、概要をかんたんに説明しておくと、検索では埋もれてしまう面白い物件のセレクトマーケットや、賃貸借未満のタイムシェア、DIYやシェアなどのテーマを持った住まいの提供など、不動産とユーザーのこれまでになかった出会いを創出する不動産メディアやサービスを「ニュー不動産」と呼び、不動産の新しい可能性や将来について6つのテーマを設定。渋谷ヒカリエで8月30日から2日間にわたって開催された、およそ30の参画団体による本気のトークセッションだ。

ニュー不動産展

「ニュー不動産展」は、別荘物件に特化した不動産サイト「別荘リゾート.net」を運営している唐品知浩氏が発起人となり、今回プロデューサーを担当した株式会社ツクルバの中村真広氏と「不動産のTWDW(Tokyo Work Design Week)みたいなイベントやりたいよね」という話をしていたことが発端となっている。

ちょうど、ツクルバが中古住宅に特化した不動産オンラインマーケット「カウカモ」をリリースしたばかりで、「リリースパーティをしようか?」という話がツクルバ社内であったことから、イベントを開催するのには良いタイミングだったという。新しい感覚を持つ不動産会社が集まって、「エンドユーザーにも興味を持ってもらえるムーブメントにしたい!」と思いからスタートした。

「ニュー不動産展」のトークセッションで設定された6つのテーマは以下のとおり。

・まちと不動産の幸せな関係
・遊休不動産の再生・利活用を面白がる
・中古住宅が不動産のメインストリームになる日
・不動産×テクノロジーの可能性
・シェア、最近どう?
・愛ある賃貸住宅との出逢い方

社会問題となっているテーマから、これから頻繁に話題になりそうなテーマまで、自分たちの求める未来に向けてアクションを起こそうとする「ニュー」な空気を感じさせる。

取材でうかがった前夜祭の「ニューニュー不動産ナイト」では、どうやって「暮らし方」をつくるかを真剣に、時には妄想も織り交ぜつつ、活発に意見が交わされた。「ニューニュー不動産ナイト」は、不動産のいまを読み解きながら、さらなる最新モデルを妄想するブレスト大会で、大家さんの情報が豊富な不動産検索サイト、見守りシェア不動産(おばあちゃんをシェア)、シングルマザーシェア不動産などなど、実現してほしい新しいアイデアの種が次々が出てきた。

森岡友樹氏(おもろ不動産ナイト・間取り図ナイト代表)

森岡友樹氏(おもろ不動産ナイト・間取り図ナイト代表)

登壇者は、青木純氏(メゾン青樹代表)、諫山三武氏(「SINRA」編集部/ZINE「未知の駅」編集長)、エガミナツコ氏(シェアハウスオーナー)、三土たつお氏(「デイリーポータルZ」ライター)、森岡友樹氏(おもろ不動産ナイト・間取り図ナイト代表)、山本梓氏(ソトコト編集部)の6名。

青木純氏(メゾン青樹代表)

青木純氏(メゾン青樹代表)

左から、諫山三武氏(「SINRA」編集部/ZINE「未知の駅」編集長)、山本梓氏(ソトコト編集部)、三土たつお氏(「デイリーポータルZ」ライター)

左から、諫山三武氏(「SINRA」編集部/ZINE「未知の駅」編集長)、山本梓氏(ソトコト編集部)、三土たつお氏(「デイリーポータルZ」ライター)

興味深かったのが、「旧来の不動産会社は不動産自体に価値があると考えていて、自分たちが持っている情報優位性だけで商売をしている。暮らしからキュレーションするのがニュー不動産で、これからはニューとオールドの戦いになる」という森岡氏の発言だ。確かに不動産会社とエンドユーザーの関係性は自由度が低く、例えば少子高齢化の問題と向き合うには、「暮らし方」を考えること(デザインすること)が求められるのは必須。いまの不動産業界の構造には、少なからず問題点がありそうだと改めて感じさせられた。

その反面、新しい可能性が芽生えていることも感じることができた。自分たちが求める未来をさまざまな方法でつくっていこうというのが「ニュー不動産」なのだろう。

ツクルバの中村氏は「今後も毎年継続していきたい、ゆくゆくはオンラインで展開しているサービスをポップアップストアで展開できたらおもしろいと思う」と力強く語ってくれた。第2回以降もきっと刺激的なものになるだろう。なお、全セッションをYouTubeで公開中、興味のある方は「ニュー不動産展」の公式サイトからご覧いただきたい。

ニュー不動産展
http://new-fudosan.net/