日本のものづくりの宝が一挙公開、68の工場を見学・体験「燕三条 工場の祭典」(1)

オフィシャル・レセプションの様子

今年で3回目を迎えた「燕三条 工場の祭典」。新潟県燕三条地域の名だたる企業が一斉に工場を開放し、ものづくりの現場を見学・体験できるイベントだ。2015年10月1日(木)から4日(日)の四日間、新潟県の三条市と燕市の全域で開催された。今年の参加工場数は68拠点。1回目は54、2回目は59なので着実な成長といえる。これ以上に顕著なのが来場者数の伸びで昨年の約1.5倍、19,312人と大きく増加した(第2回12,661人、第1回10,708人)。

藤次郎にて、工房で職人の手により生み出される包丁

藤次郎にて、工房で職人の手により生み出される包丁

会場は、参加するそれぞれの工場なので、公共交通やレンタカーなどで巡ることになる。手間がかかると言えばかかるのだが、訪れた先にあるのは紛れもない本物。世界最先端、最大シェア、こだわりの技術、匠の技、伝統的工芸品、人間国宝といった日本のものづくりの宝が、そこにはある。

タダフサにて、刃のわずかな狂いも見逃さない

タダフサにて、刃のわずかな狂いも見逃さない

プレイベントが東京のAXIS GALLERYにて開催されたので、こちらを訪ねた方もいることと思う。情報が整然とまとめられて効率的に概況を把握することができる展示だった。改めて思い返すと、それは静かな中に熱さを秘めた工場の祭典のイントロダクションだったことが分かる。

日本洋食器にて、スプーンのプレス機

日本洋食器にて、スプーンのプレス機

永塚製作所にて工場長による説明、トングの支点を真円にする工夫がこの波

永塚製作所にて工場長による説明、トングの支点を真円にする工夫がこの波

会期初日には、三条市の繁華街に隣接するお寺「真宗大谷派三条別院」にてオフィシャル・レセプションが開催された。参加工場の職人たちも集結し、ものづくりを体験できる屋台や、地元の食材を地元の道具で味わえる屋台などが登場。あいにくの雨天ではあったが、祭典のシンボルであるピンクストライプの投影等で大いに盛り上がった。

三条特殊鋳工所にて、炉から流れ出る鉄、これを鋳型に流し込む

三条特殊鋳工所にて、炉から流れ出る鉄、これを鋳型に流し込む

今回、いくつかの工場を回ることができたので、その様子を紹介したい。機械を組み合わせたラインの動きの面白さとスムーズな大量生産の迫力、繊細な手仕事による加工や仕上、はしばしに感じる技への誇り、工場や工具のインダストリアルな美しさ。様々な魅力の一端を感じて頂ければと思う。

永塚製作所

大正初期に創業、家庭用の金属雑貨製品を製造。清掃トング「MAGIP」は新潟IDSデザインコンペティションIDS賞やGOOD DESIGN AWARDを受賞。

中央奥が「MAGIP」

中央奥が「MAGIP」

三つの機械を組み合わせたライン、平らな鉄板がシャベルに成形される

三つの機械を組み合わせたライン、平らな鉄板がシャベルに成形される

成形されたシャベル

成形されたシャベル

成形過程で抜き落とされる鉄板

成形過程で抜き落とされる鉄板

タダフサ

1948年に曽根寅三郎が創業、曲尺で修行した鍛造技術を生かし、鎌、小刀、包丁などあらゆる刃物を手がけた。漁業用刃物を経て、現在は家庭用刃物、本職用刃物、蕎麦切り包丁を製造。

タダフサにて、ガス炉で800〜900度に熱した鋼材を叩き、成形する鍛造の工程

タダフサにて、ガス炉で800〜900度に熱した鋼材を叩き、圧延する鍛造(成形)の工程

タダフサにて、研ぎ

タダフサにて、研ぎ

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