モノ・ヒト・コトの“はじまりのストーリー”を伝える特別企画が見本市のハブに―「IFFT/インテリア ライフスタイル リビング」(1)

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モノ・ヒト・コトの“はじまりのストーリー”を伝える特別企画が見本市のハブに―「IFFT/インテリア  ライフスタイル リビング」(1)

東京から世界へ向けてライフスタイルを提案する、インテリア・デザイン市場のための国際見本市「IFFT/インテリア ライフスタイル リビング(以下、IFFT/ILL)」。国内外のハイエンドなインテリアやデザインアイテム、キーパーソンが集結する見本市が、11月14日から11月16日までの3日間にわたり東京ビッグサイトにて開催されました。

3日間の来場者数は、昨年より約900人増の17,574名。初日は臨時受付カウンターを設置するほどの盛況ぶりでした。出展者数は15カ国・地域から424社(国内342社、海外82社)となり、住まいから商業施設まで、空間を彩るあらゆるアイテムが展示され活気にあふれていました。

会期中はナカムラケンタさんをはじめ、さまざまな分野の方が登壇するトークショーも開催

会期中はナカムラケンタさんをはじめ、さまざまな分野のクリエイターやバイヤーらが登壇するトークイベント「LIFESTYLE SALON」も開催

毎回、IFFT/ILLで中心となるアトリウム特集企画では、『日本仕事百貨』代表のナカムラケンタさんがディレクションを手がけた「はじまりの仕事展」を開催。全出展者の中から、ナカムラさんがセレクトした84商品の中に眠る“はじまりのストーリー”を独自の視点で編集。導き出した言葉を5つのテーマにまとめ、そのエッセンスとなる言葉とともに大小さまざまなボックスにのせて紹介しました。

「はじまりの仕事展」メインビジュアル。グラフィックデザインはBAUM

「はじまりの仕事展」メインビジュアル。グラフィックデザインはBAUM

また、初の試みとして本展示は一般公開されたことや、「展覧会」の機能を取り入れたことで、より多くの方が興味を持って参加する場になりました。トークショー会場やカフェスペースもアトリウム会場に配置し、来場者が会場を巡るハブとなるタッチポイントを創出。これまでの、小売のバイヤーやオーナーと出展者による商談のための場からさらに踏み込み、交わりの場としての力を最大限に発揮するための思い切った転換がおこなわれました。

さまざまなゾーンが設けられている中で、本記事では編集部が気になった出展者を紹介します。

SOGU(NEXTゾーン)

「SOGU(ソグ)」は、デザイン会社Yのメンバーたち自身が欲しいと考えた雑貨を提案するブランド。モノが成り立つ要素を整理し、新たな視点で再解釈した商品を生み出しています。商品は現在10種類で、「資料を邪魔しない極小強力マグネット」「汚れが目立たないホワイトボードイレーザー」「吊り下げるロールペーパーホルダー」など、日常のちょっとした“気になる”を解消してくれるアイテムばかりです。

φ4.5 MAGNET

商品のうちのひとつである「φ4.5 MAGNET」。時に資料より目立ってしまうマグネットに疑問を感じ、つくられたプロダクト。書かれた内容を邪魔しない、小さいけれど強力なマグネット

SOGUというブランド名は「削ぐ」という日本語からきていますが、削ぎ落したシンプルな造形という意味ではなく、このモノの本質は何なのか?を見つける思考を意味しているそう。小さなこだわりを実現したプロダクトたちは、主張しすぎない洗練された美しさを持っています。

(写真左から)株式会社Yの物袋卓也さん、大槻佳代さん。代表の三宅喜之さんを含めて3名で活動するプロダクトデザイン会社。ブランド骨子立案、商品企画の段階から関与するスタイルで大阪を拠点に活動している。

(写真左から)株式会社Yの物袋卓也さん、大槻佳代さん。代表の三宅喜之さんを含めて3名のプロダクトデザイン会社。ブランド骨子立案、商品企画の段階から関与するスタイルで大阪を拠点に活動している。

9°(NEXTゾーン)

緑のカラーバリエーションが美しい、調理ができる器「9°(クド)」。“使い捨てにされることが多い樹脂を長く使い続けられ、そのモノを使ってくれる人たちの暮らしがほんの少し豊かになるようなモノづくりがしたい”――そんな想いを胸に抱えていた東京のデザイナーと富山の技術者が出会い、2016年にプロジェクトがスタートしました。

カラーバリエーションは、豊かな自然を誇る富山の「雪と大地と緑」をイメージしたという6色展開

カラーバリエーションは、豊かな自然を誇る富山の「雪と大地と緑」をイメージしたという6色展開。表面には樹脂製の器ではあまり見ないテクスチャーがついており、陶磁器のような質感があります

220℃までの耐熱性樹脂素材で、電子レンジでの加熱調理や-20℃までの冷蔵冷凍での調理や保存などに向いています。9°に使われているSPS樹脂は電子レンジ加熱時の発熱量が低く、器内の食材だけを効率よく加熱することができるため、根菜などは水分を逃がさずふっくらと仕上がるそう。取材時は器の中で調理が完結する、ガトーショコラの調理を実演していました。

(写真左から)ディレクションを担当した、KaB DESIGN INC.の齋藤善子さん、市橋樹人、●●●●さん

(写真左から)9°をプロデュースしている、KaB DESIGN INC.の齋藤善子さん、市橋樹人さん、フードデザイナーの佐藤玲子さん。ブランド名の「クド」の由来は、美しくスタッキング収納できる角度が9度だということと、日本古来の風習である「三々九度」が固めの盃と呼ばれるように、9°が末永く愛されるようにという想いも込められているそう。

NANASAN(FOODISTゾーン)

和菓子のブランド「NANASAN(ナナサン)」は、滋賀県高島市安曇川町にある、1932年創業の老舗和菓子店「とも栄菓舗」の若い夫婦の職人が立ち上げました。ディレクションは、デザイナーの橋本崇秀さん。ブランド名は、革新的な試みを「7」、伝統的な技法を「3」とする「革新7:伝統3」の指標を掲げていることから。新しい食体験を追求しながらも、これまでの感覚に寄り添う和菓子を創出していくという想いが込められています。

地元で「アドベリー」と呼ばれる、安曇川(あどがわ)の三角州で栽培される幻の果実、ボイセンベリーを使った商品「MIO(ミオ)」を中心に4種類を展開。美しく輝く多面体のMIOは、多様な食感が楽しめるよう伝統的な琥珀糖を発展させたお菓子です。ぷるぷるした寒天とモチモチのアドベリーを使用しています。

朝焼けをイメージしたパッケージのMIO。七面体の形は、橋本さんが3Dプリンターを使い、何度も試行錯誤したそう。

朝焼けをイメージしたパッケージのMIO。七面体の形の原型は、橋本さんが3Dプリンターを使い、何度も試行錯誤したそう。

淡いグラデーションが美しいパッケージについて橋本さんは、「パッケージは新しいブランドが始まるという意味も込め、朝焼けをイメージしました。お菓子の形は、七角形の多面体なのですが、表面積を増やしたことでよりシャリっとした食感を楽しんでもらえると思います。来年春に新発売される3種類の和菓子も、すべて滋賀県にゆかりのある食材を使っています」と、話してくれました。革新と伝統がうまく融合した和菓子の今後の展開に期待したいです。

(写真左から)デザイナーの橋本崇秀さん、とも栄菓舗の西沢勝仁さん

SUMIDA CONTEMPORARY(MOVEMNTゾーン)

300年前から現在まで、工場や手工業がとても多いものづくりの町、東京・墨田区。墨田区のものづくりのサポートとプロモーションを目的に始まった「SUMIDA CONTEMPORARY」は、金属成形、革製品、ガラスなど7社のメーカーと、日本や世界で活躍する11組のデザイナーがコラボレーションしたレーベルです。

柳宗理が1966年にデザインしたグラスを復刻した「Yグラス」。製造は1899年に墨田区で開業した、廣田硝子株式会社がおこなっています

柳宗理が1966年にデザインした「Yグラス」。当時は商品化されなかったものの、SUMIDA CONTEMPORARYとのコラボレーションによって製品化が決定しました。製造をおこなっているのは、1899年に墨田区で開業した廣田硝子株式会社。

クリエイティブディレクションは、「KARIMOKU NEW STANDARD」や有田焼「2016/」を手がけている、ダヴィッド・グレットリさんが担当。参加デザイナーは、カルロ・クロパスさん、ジャスパー・モリソンさん、長嶋りかこさん、藤城成貴さん、柳宗理さんなど。水差しやグラス、ブラシ、屏風などさまざまな商品が紹介されていました。

クリエイティブディレクションを担当した、ダヴィッド・グレットリさん

クリエイティブディレクションを担当した、ダヴィッド・グレットリさん

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