見たい、知りたい!今月のイベント―2021年2月

見たい、知りたい!今月のイベント―2021年2月

2021年も2か月が過ぎ、JDN編集部は年末年始の忙しさが少し落ち着いてきました。緊急事態宣言は続いていますが、変わらず日常の中に楽しさや創作のヒントをもたらしてくれるような展覧会やイベントは実施されています。

今月は、年賀状のデザインや世界的に有名な絵本、もうすぐ10年が経つ東日本大震災にまつわる展覧会など、いま観てほしい5つのイベントをご紹介します。

「クリエイター100人からの年賀状」展 vol.16

紙の専門商社・株式会社竹尾で毎年開催されている「クリエイター100人からの年賀状」展。今年で16回目を迎える同展は、東京、大阪、福岡の3拠点で2月26日まで開催しています。

原研哉さんや隈研吾さん、浅葉克己さんなどの大御所から、先日「JAGDA新人賞2021」を受賞した窪田新さんなど、さまざまなクリエイターの年賀状を一堂に楽しめる展覧会です。新年のあいさつ変わりともなる一枚がどのようにデザインされているのか、会場でくらべてみるのも面白そうです。

会期:2021年1月22日(金)~2月26日(金)
場所:株式会社竹尾 見本帖本店2F・淀屋橋見本帖・福岡見本帖
https://www.takeo.co.jp/exhibition/mihoncho/detail/20210122.html

がまくんとかえるくん誕生50周年記念「アーノルド・ローベル」展

日本でも小学校の教科書に採用されるなど、シリーズ最初の本が出版されてから半世紀を経た今もなお世界中で愛されている『がまくんとかえるくん』。その著者であるアメリカの絵本作家、アーノルド・ローベルは、病気がちで学校嫌いだった子どものころから絵やお話づくりが得意だったといいます。彼は54年の短い生涯を閉じるまでの間に、100冊もの絵本を世に送り出しました。

「アーノルド・ローベル」展 展覧会ビジュアル

「アーノルド・ローベル」展 展覧会ビジュアル

本展は、エリック・カール絵本美術館との共同企画で、『がまくんとかえるくん』を中心とする約30冊の絵本を、貴重な原画やスケッチ約200点とともに紹介。あわせて会場では、アニメーション作家の加藤久仁生さんによる、がまくんとかえるくんの日常を描いたアニメーション作品「一日一年」も特別上映しています。ユーモラスで温かいローベルの世界に出会える、日本で初めての本格的な展覧会です。

また、今回の開催にあわせて、展覧会図録やオリジナルグッズを販売。ポスターやチラシ、会場のグラフィック、図録、グッズなどはPLAY!のアートディレクターでもある菊地敦己さんが担当しています。

会期:2021年1月9日(土)~3月28日(日)
場所:PLAY! MUSEUM
https://play2020.jp/article/arnoldlobel/

SURVIVE – EIKO ISHIOKA /石岡瑛子 グラフィックデザインはサバイブできるか

1960~70年代の東京で、資生堂、パルコ、角川書店などのアートディレクターとして、広告界にセンセーションを巻き起こした石岡瑛子さん。当時世の中にある「女性」のイメージをことごとく覆し、1980年代の「女の時代」到来の布石を打ちました。

特に、1970年代に最も熱いメッセージを送り続けた一連のパルコのポスターは、カメラマンやコピーライター、モデルなどとの親密でありながら緊張感みなぎるコラボレーションにより、広告の領域を超えた強烈なアートとして時代を彩りました。

告知ポスター(前期) デザイン:永井裕明 写真:藤原新也/PARCOポスター「あゝ原点。」(1977)より

告知ポスター(前期) デザイン:永井裕明 写真:藤原新也/PARCOポスター「あゝ原点。」(1977)より

つい先日まで東京都現代美術館で開催されていた大規模な回顧展も話題になりましたが、本展では、石岡瑛子さんのデビューから1980年代のニューヨークへ渡るまでの日本の仕事に焦点を当てています。会期は前期と後期に分かれており、後期は映画や演劇のポスターをはじめ、今まであまり見る機会がなかったグラフィック・アート作品などが紹介されています。

会期:後期/2021年2月3日(水)~3月19日(金)
場所:ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
https://www.dnpfcp.jp/CGI/gallery/schedule/detail.cgi?l=1&t=1&seq=00000761

3.11とアーティスト:10年目の想像

2021年3月、東日本大震災から10年目を迎えます。当時自らも罹災し、臨時の避難所となった水戸芸術館では、2012年に展覧会「3.11とアーティスト:進行形の記録」を開催しました。同展では、震災を受けてアーティストが行ったさまざまな活動について、芸術であるか否かを問わず、時間軸に沿って紹介されました。

大規模な災害を経験したばかりの頃、アートの意味や役割が問い直されるさなか、アーティストがとった行動の大半は、支援と記録を主眼に置いたものでした。あれから10年。アーティストたちは今や「作品」を通してあの厄災に応答しています。

小森はるか+瀬尾夏美《二重のまち/交代地のうたを編む》2019 ©Komori Haruka + Seo Natsumi

小森はるか+瀬尾夏美《二重のまち/交代地のうたを編む》2019 ©Komori Haruka + Seo Natsumi

本展では「想像力の喚起」という芸術の本質に改めて着目し、東日本大震災がもはや「過去」となりつつある今、あの厄災と私たちをつなぎ直し、あのとき幼かった世代へ、10年目の私たちへ、そして後世へと語り継ごうとする作品群が紹介されます。

会期:2021年2月20日(土)~5月9日(日)
場所:水戸芸術館 現代美術ギャラリー
https://www.japandesign.ne.jp/event/311-artist-10/

デザインあ展 in AICHI

NHK Eテレで放送されている「デザインあ」は、身の回りに当たり前に存在しているモノ・コトを「デザイン」の視点から徹底的に見つめ直し、斬新な映像手法と音楽で表現している番組です。子どもたちにデザインの面白さを伝え、デザイン的な視点と感性を育む一歩になることを目指しています。

これまで東京や富山、熊本など各地を巡回してきた「デザインあ展」ですが、3月14日まで愛知の豊田市美術館で開催されています。

デザインあ展 in AICHI

ⒸSATOSHI ASAKAWA

本展では、五感を活用した体験型展示や斬新な映像表現を用いてデザインのまなざしを導き、身近でリアルな発見ができる展示が行われています。未来を担うこどもたちに、「見ること」「考えること」の豊かさとよろこびを体感してもらえるような展示です。

会期:2021年1月5日(火)~2021年3月14日(日)
場所:豊田市美術館
https://www.design-ah-exhibition.jp/

以上、5つのイベントをご紹介しました。旅行などの遠出は難しいですが、各美術館やギャラリーではそれぞれ感染症対策を行っていますので、気になる展示は会期を逃さないよう行ってみてください。

また、今月からタイトル画像が新しくなりました!手がけていただいたのは、イラストレーターの大塚文香さん。女性が手に持っているお花が、展示を観に行く際のワクワク感や嬉しい気持ちの比喩に思える、とても素敵な1枚を描いてくださいました。とても素敵なイラストが満載なので、ぜひサイトをチェックしてみてください!来月も編集部が気になるイベントをご紹介しますのでお楽しみに。

タイトルデザイン:大塚文香 構成:石田織座(JDN)