見たい、知りたい!今月のイベント―2019年9月

見たい、知りたい!今月のイベント―2019年9月

9月に入り、新学期や新しい場所での挑戦がはじまった方もいらっしゃるのではないでしょうか?今月は、そんな新天地で頑張る方に向けて、新しいものの見方や考え方のヒントになるようなイベントをご紹介します!

企画展「ジュリアン・オピー」

東京オペラシティ アートギャラリーで9月23日まで開催している企画展「ジュリアン・オピー」。ジュリアン・オピーは、イギリスを代表するアーティストの一人で、点と線という最小限の視覚言語によって人物像や風景を表現する作風で知られています。

Julian Opie. Running 1. 2018

Julian Opie. Running 1. 2018

ジュリアン・オピーというと、輪郭線のはっきりしたシンプルなポートレート作品を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし近年では、都市の通りを行き交う人々を表現した絵画や映像、都市のビル群の立体やLEDによるカラス、田園風景や羊の彫刻など、幅広い作品を制作しています。

2008年の水戸芸術館現代美術ギャラリーでの開催以来、11年ぶりとなる日本の美術館での大型個展。初公開となる新作を中心に構成される本展で、ジュリアン・オピーの「いま」をご覧ください。

会期:2019年7月10日(水)~9月23日(月)
場所:東京オペラシティ アートギャラリー
http://www.operacity.jp/ag/exh223/

スタシス・エイドリゲヴィチウス: イメージ――記憶の表象

リトアニア出身で、ポーランドを代表する作家のスタシス・エイドリゲヴィチウスの個展が、武蔵野美術大学 美術館・図書館で11月9日まで開催しています。

絵画や版画、挿絵、彫刻、写真、舞台の分野で制作活動をおこなってきたスタシス。ブラティスラヴァ国際絵本ビエンナーレやワルシャワ国際ビエンナーレでの受賞をはじめ、シカゴやロサンゼルスでの個展のほか、過去には日本のギンザ・グラフィック・ギャラリーやクリエイションギャラリーG8で個展をおこなうなど世界各国を舞台に活躍の場を広げてきました。

これまで日本ではポスターや絵本を中心に紹介されてきましたが、本展では50年以上におよぶ活動の中から、スタシス本人が作品を選定。細密画やパステル画など絵画作品を中心に、蔵書票、絵本、ポスター、写真や演劇など多角的にスタシスの作品を鑑賞することができます。

《My bag》2016年/パステル/70.0×50.0cm

《My bag》2016年/パステル/70.0×50.0cm

グラフィックデザイナーの田中一光がスタシスの作品を見て言ったという、「リトアニアの土とワルシャワの風を混ぜ合わせる」 という言葉のように、多様な技法を駆使して表現を探求したスタシス作品の魅力にふれてみてはいかがでしょうか。

会期:2019年9月2日(月)~11月9日(土)
場所:武蔵野美術大学美術館 展示室3、展示室4、展示室5、アトリウム2
https://mauml.musabi.ac.jp/museum/events/15937/

有山達也展「音のかたち」

クリエイションギャラリーG8で10月5日まで開催中の有山達也展「音のかたち」。有山達也さんは、創刊時から長年アートディレクターをつとめた『ku:nel』や、現在担当する東京藝術大学発行の『藝える』といった広報誌をはじめ、文芸書から料理本、写真集、漫画など、さまざまなジャンルのエディトリアルデザインを中心に手がけてきました。

有山達也展「音のかたち」

また、デザインの仕事のかたわら、数千を超えるレコードコレクションとヴィンテージオーディオを所有し、音楽と密接に関わる生活を送っている有山さん。東京初となる本展でテーマに選んだのは「音」です。音を生むレコード針とレコードの溝を接写レンズでとらえた、写真家・齋藤圭吾さんの著書『針と溝(本の雑誌社)』のエディトリアルデザインを手がける中で、有山さんは「音」には「かたち」があるのではないかと思ったといいます。

本展では、有山さんと齋藤さんの2人による協働で、『針と溝』の世界をさらに進化させたヴィジュアル表現や、レコードの音を作り出すカッティングエンジニアやオーディオ機器を作っている人たちへ取材を行い、「音」の可視化に取り組んでいます。有山さんによって可視化された「音」はどんな表情を見せるのか、会場でご覧ください。

会期:2019年8月27日(火)~10月5日(土)
場所:クリエイションギャラリーG8
http://rcc.recruit.co.jp/g8/exhibition/201908-3/201908-3.html

more than Reason隈研吾+山口一郎(NF/サカナクション)+森永邦彦(ANREALAGE) 展

LIXILギャラリーで9月24日まで開催している「more than Reason 隈研吾+山口一郎(NF/サカナクション)+森永邦彦(ANREALAGE)展」は、2014年からLIXILギャラリーが開催している「クリエイションの未来展」の19回目の企画展です。本企画は日本の建築・美術界を牽引する4人のクリエイターを監修者に迎え、それぞれ独自のテーマで現在進行形の考えを具現化するというもの。

第19回目となる今回は、隈研吾さん、山口一郎さん、森永邦彦さんの3者がコラボレーションし、意味や解釈、理屈を超えた体験をつくることを目指しています。

more than Reason展

会場の入口には俳句が書かれたカードが置かれており、カード裏面のQRコードを読み込むと、山口さんが今回のためにつくった楽曲を聴くことができるそう。空間、音楽、ファッションの第一線を走るクリエイターがタッグを組んだことで生まれる表現をぜひ体験してください。

会期:2019年7月20日(土)~9月24日(火)
場所:LIXILギャラリー
https://www.livingculture.lixil/topics/gallery/g2-1907/

見える自然/見えない自然 ロイス・ワインバーガー展

ワタリウム美術館で10月20日まで開催している「見える自然/見えない自然 ロイス・ワインバーガー展」は、オーストリア出身のアーティスト、ロイス・ワインバーガーの作品を通して「見えない自然」を知り、考え、持ち帰ってほしいというコンセプチュアルな企画展。

会場では、ワインバーガーの40余年の活動から、ドローイング、土や動物を用いた彫刻、植物のオブジェ、映像作品など100点あまりを展示しています。各作品からは、彼のアクティビストとしての頑強な思想に支えられながらも、鳥のような自由さや生への尊敬、願い、自然のもつ美しさやユーモアが感じられます。

見える自然/見えない自然 ロイス・ワインバーガー展

無題 1996年

国際美術展「ベニス・ビエンナーレ」や「ドクメンタ」、そのほか多くの美術館で展示されている、近年注目を集めるロイス・ワインバーガーの作品。タイトルの「見える自然/見えない自然」という意味について、来場者それぞれが深く考える展覧会になりそうです。

会期:2019年7月13日(土)~10月20日(日)
場所:ワタリウム美術館
http://www.watarium.co.jp/museumcontents.html

これからだんだん暑さが和らいできて、お出かけするのも楽しい季節になってくるはず。9月の連休のお出かけの参考にしてみてくださいね。来月も編集部が気になるイベントをご紹介します。

構成:石田織座(JDN) タイトルデザイン:カヤヒロヤ