ドレス・コード?――着る人たちのゲーム
京都国立近代美術館で10月14日まで開催されている「ドレス・コード?――着る人たちのゲーム」は、“服を着る”という行為に焦点をあて、現代社会における新たな〈ドレス・コード〉、装いの実践(ゲーム)を見つめ直す展覧会です。
「着る」だけでなく、「視る/視られる」ものであるファッション。時代や地域、社会階層の文化や慣習と結びついた暗黙の〈ドレス・コード〉ともいえるさまざまな形の規範やルールが存在し、そこから駆け引きやゲームにも似た自己と他者とのコミュニケーションが生まれています。
会場では、18世紀の男女の宮廷服や20世紀初頭の紳士服など歴史的な衣装類から現代の衣服まで、京都服飾文化研究財団(KCI)が収蔵する衣装コレクションから精選した約90点を中心に、現代アート、映画ポスター、演劇やマンガとのコラボレーションなど合計300点強を紹介。インターネットとSNSの普及によって、誰もが自らの装いを自由に発信できるようになった現在、私たちとファッションのかかわり方をあらためて考える機会になりそうです。
MAY I START? 計良宏文の越境するヘアメイク
美容やファッションの領域だけでなく、映像や舞台、パフォーミングアーツなど、今日のさまざまな表現に欠かすことのできない「ヘアメイク」。埼玉県立近代美術館で9月1日まで開催されている「MAY I START? 計良宏文の越境するヘアメイク」は、ヘアメイクアップアーティスト・計良宏文さんの仕事を通して、ヘアメイクの現在と可能性を新たな視点からとらえる企画展です。
宣伝広告や雑誌のヘアメイクを数多く手がけ、パリコレクションをはじめ国内外のファッションショーでヘアチーフを務めるなど、ファッション&ビューティーの最前線で活躍してきた計良さん。近年は現代美術など他領域のアーティストと積極的に協働し、ヘアメイクの概念を刷新する活動を展開してきました。
会場では、代表的な宣伝広告などの仕事から従来のヘアメイクの枠を超える挑戦的な仕事まで、クリエイションの全貌を紹介。また、ヘアメイクを担当した森村泰昌さんの作品や、かしら(頭部)を制作した文楽人形、でんぱ組.incの作品などこれまでのコラボレーションの成果を紹介するとともに、ファッションデザイナー・坂部三樹郎さんとの共作による大規模な新作映像インスタレーションも展示されます。
ひびのこづえ展「みる・きる・つくる」
1988年にコスチューム・アーティストとして活動をスタートして以来、演劇やダンス、映画、テレビなど多分野にわたり、数々の作品を生み出している、ひびのこづえさん。プリミティブな感覚を根底に感じさせつつも、想像を超えたダイナミックな形と色のコスチュームは、子どもから大人までを釘付けにし、その作品世界へと一瞬で引き込みます。
本展では、活動歴30年を超えるひびのさんのクリエイションの魅力を「みる・きる・つくる」をテーマにたっぷり紹介。2017・2018年に上演したダンス「不思議の国のアリス」の衣装を展覧会として初公開するほか、近年の作品から代表作までを展示。また、実際に試着できる服やヘッドピースも並ぶほか、随時参加可能なミニワークショップコーナーも設置されます。「みる」だけでなく、「きる」「つくる」を体験することで、ひびのこづえさんの創作の醍醐味をより一層実感できるはずです。
場所:三菱地所アルティアム
#009 WALKMAN IN THE PARK
銀座ソニービルの跡地であるGinza Sony Parkで9月1日まで開催中の「#009 WALKMAN IN THE PARK」。第1号のウォークマンが発売された「音楽が歩き出した日」から40年。ウォークマンとともに常に音楽と寄り添い歩んできた“人”にフォーカスした40周年記念プログラムです。
本展では7著名人40人のウォークマンとのエピソードを綴った「My Story, My Walkman」や、約230台の歴代ウォークマンを集めた「Walkman Wall」などを通し、時代に合わせて多様に変化してきたウォークマンと、人々の音楽体験がシンクロする物語を楽しめます。ウォークマンを愛用していた人はもちろん、ウォークマンを知らない世代はプロダクトそのものとしての魅力を感じることができそう。
The Eyes and Hands―クラフツマンの感性―
MIKIMOTOのジュエリーの美しさと輝きが決まる瞬間――そこには、ジュエリーデザイナーやジュエリーを制作するクラフツマンの目と手が深く関わっています。9月2日まで銀座のミキモトホールにて開催している「The Eyes and Hands―クラフツマンの感性―」は、ジュエリーの作り手に焦点を当て、ジュエリーが出来上がるまでの工程をさまざまな角度から紹介しています。
会場では、高度な技術を物語るハイジュエリーやMIKIMOTOならではの繊細なデザイン画、手しごとを支えるツール、やがてジュエリーとなる約1万個の真珠などを展示。ほかにも、作り手の仕事をVRで疑似体験できるコーナーがあるなど、ただ美しいジュエリーを愛でるというものではなく、作り手の目に映る世界と手しごとを体感できる展覧会です。
場所:ミキモト 銀座4丁目本店 7F ミキモトホール
https://www.mikimoto.com/jp/news/eyesandhands.htm
今月は夏休みの方も多いと思うので、全国各地のイベント5つをご紹介しました。「出かけたいけど、何も決まってないな…」という方はぜひ参考にしてみてくださいね!来月もお楽しみに。
構成:石田織座(JDN) タイトルデザイン:カヤヒロヤ