見たい、知りたい!今月のイベント―2019年7月

見たい、知りたい!今月のイベント―2019年7月
7月も半分過ぎましたが、やっと晴れ間が少しずつ見え始め、梅雨明けも期待できそうですね。今月も編集部がおすすめするイベントをご紹介します!今月はそれぞれに“ファンが多そうなイベント”というテーマのもと集めてみました。

Archives: Bauhaus 展

2019年は、ドイツのワイマールに先進的な総合芸術学校「バウハウス」が創立されてから100年目にあたります。銀座のATELIER MUJI GINZA Gallery2では、デザインにまつわる重要な記録を保存・活用し、未来へ伝達する試みとしてのシリーズ:Archivesにて「バウハウス」を取り上げます。

第一次大戦の敗戦を期に、ドイツでは芸術と産業の融合を目指す気運が醸成され、国ではなく個である芸術家や建築家などが連携・主導してつくられたバウハウス。それは産業革命後に欧州で加速する大衆文化の課題を解決し、新しい時代への理想の追求でもありました。世界政治が混迷を極める当時、新しい社会の拡張性を目指したバウハウスは1933年に閉校。その活動は2つの世界大戦に挟まれた14年間という短い期間でしたが、ドイツのみならず世界各地に今なお強い影響を与えています。

©️ATELIER MUJI GINZA 2019

©️ATELIER MUJI GINZA 2019

モダンデザインの潮流の中で、多様な領域を横断する学校教育というユニークな形式で革新を目指したバウハウス。100年という節目に、改めてバウハウスの理解を深める貴重な機会になりそうです。

会期:2019年6月28日(金)~9月23日(月)
場所:ATELIER MUJI GINZA Gallery2
https://www.muji.com/jp/ateliermuji/exhibition/g2_190429/

原田治 展 「かわいい」の発見

1970年代後半から90年代にかけて、女子中高生を中心に爆発的な人気を博した「オサムグッズ」の生みの親、原田治さん。50~60年代のアメリカのコミックやTVアニメ、ポップアートなどから影響を受けたイラストレーション――とりわけ、簡潔な描線と爽やかな色彩で描かれたキャラクターたちは、その後の日本の“かわいい”文化に多大な影響を与えました。

没後初の全国巡回展となる本展では、イラストレーターとして活動する端緒となった、1970年代「an・an」の仕事をはじめとして、広告・出版・各種グッズなど多分野にわたる作品を中心に、幼少期~20代前半の初期資料や、エッセイ集『ぼくの美術帖』関連資料も交えて展示し、時代を超えて愛される、原田治の全貌に迫ります。

©Osamu Harada/Koji Honpo

©Osamu Harada/Koji Honpo

カルビーのポテトチップスやミスタードーナツのグッズなど、その可愛らしさがすぐ思い出せる原田さんの手がけた作品の数々。原画や版下、スケッチなど、初公開資料も多数だそうなので、老若男女問わず、原田さんの“かわいい”の魅力にやみつきになってください!

会期:2019年7月13日(土)~9月23日(月)
場所:世田谷文学館 2F 展示室
https://www.setabun.or.jp/exhibition/exhibition.html

POSTERS

デザイン事務所・キギが運営するOUR FAVOURITE SHOPにて、グラフィックデザイナーやアーティストのポスターを展示・販売する展覧会「POSTERS」が開催。

浅葉克己さん、植原亮輔さん、葛西 薫さん、菊地敦己さんなど、出展作家がこれまでに制作・発表した数々のポスターの中から、本展のために特別に出品するものが並びます。

デザイン:仲條正義

デザイン:仲條正義

普段の展覧会では、来場者は作品を「見る」ものですが、「買う」という行為も加わって鑑賞したら、作品の見え方や距離感がいつもと少し違ってくるかもしれません。会場で販売するポスターは、一部をのぞいて現品限りの希少な作品ばかり。ぜひ、会場でお気に入りのポスターとの出会いを楽しんでください。

会期:2019年6月28日(金)~8月18日(日)
場所:OUR FAVOURITE SHOP内 OFS gallery
http://ofs.tokyo/posters

小林賢太郎の「本」展

名古屋市にあるナディアパーク・デザインセンタービル内のデザインギャラリーにて開催中の『小林賢太郎の「本」展』。

小林賢太郎さん(劇作家/パフォーマー)が今までに出版した小説、絵本、漫画、戯曲集など、「本」をテーマにした展示(デザインギャラリー)とライブイベント(3F デザインホール)が行われるという企画展です。

「本」展では、原稿や原画、キャラクターの構想スケッチなどのメイキング資料を展示。現在講談社イブニングで連載中の漫画「ハナウサシリシリ」の、これから掲載される原稿の先行展示も行われているそう。特設ショップではオリジナルグッズなどの販売も実施。

小林賢太郎の「本」展と「本」公演(フライヤー・イメージ)

小林賢太郎の「本」展と「本」公演(フライヤー・イメージ)

7月21日までという短い会期で、すでにグッズの一部は売り切れているのだとか。ファン必見の展示にお急ぎください!

会期:2019年7月11日(木)~7月21日(日)
場所:ナディアパーク・デザインセンタービル 4F デザインギャラリー
http://www.idcn.jp/archives/custom_event/kentaro-kobayashi

虫展 -デザインのお手本-

21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2にて開催する、企画展「虫展 -デザインのお手本-」は、デザイナーや建築家、構造家、アーティストたちが虫から着想を得たさまざまな作品を展示するものです。

展覧会ディレクターはグラフィックデザイナーの佐藤卓さん、企画監修には虫好きとしても知られる解剖学者の養老孟司さん。

実はいまだにほとんどわかっていないという虫の生態。人類よりもずっと長い歴史のなかで進化を続けてきた多様な虫の姿からは、さまざまな創造の可能性が浮かび上がってきます。

成長するにつれて何となく「虫」は苦手になったなぁ…という人も多いと思いますが、「何でこんなにきれいな羽なんだろう、等間隔に並んだ模様が美しい…!」といった、純粋に虫が持つ美しさや多様性をあらためて知ることができそうです。本展は知れば知るほど不思議な虫たちを「デザインのお手本」にする試みです。

会期:2019年7月19日(金)~11月4日(月・祝)
場所:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
http://www.2121designsight.jp/program/insects/

今月は5つのイベントをご紹介しましたが、どれも観に行けばきっと自分のお気に入りの作品が見つかるはず!来月も嬉しかったり楽しい気持ちにさせてくれるイベントをご紹介します。

構成:石田織座(JDN) タイトルデザイン:カヤヒロヤ