今年もユニークな芸術祭がたくさん開催。2017年注目の芸術祭をまとめてご紹介

札幌国際芸術祭 メインビジュアルとシンボルマーク

長野、種子島、奥能登、横浜、札幌。2017年もそれぞれの土地柄や風土を活かしたユニークな芸術祭が、全国さまざまな場所で開催されます!その中から初開催のものを中心に、編集部が注目する芸術祭をいくつか紹介します。(3月上旬までの情報にて掲載)

まず紹介したいのは、今年初開催の4つの芸術祭についてです。

北アルプス国際芸術祭2017 ~信濃大町 食とアートの廻廊~

テーマ:水、木、土、空
開催日時:2017年6月4日(日)~2017年7月30日(日)
会場:長野県大町市
公式サイト:http://shinano-omachi.jp/

「水、木、土、空」をテーマに、北アルプスの麓・信濃大町の魅力を伝えるべく、2017年に初開催される芸術祭。総合ディレクターに北川フラムさんを迎え、土地固有の生活文化を表現する「食」と、地域の魅力を再発見する「アート」の力によって、北アルプス山麓の地域資源を世界へ発信することを目指します。

かつては水路が家の中につくられ、清らかな水が街の中まで流れ込み、水は豊かな森と生活を生み出し、独自の食文化をつくってきたこの土地。扇状地から北アルプスの山々を仰ぎ、アートを道標に地域を巡り、信濃大町の「水、木、土、空」を感じられる芸術祭となります。Tシャツや手ぬぐい、パスポートといった公式グッズはミナ ペルホネンの皆川明さんがデザインを担当。

【参加アーティスト】アートプロジェクト気流部、ニキータ・アレクセーエフ、青島左門、アルフレド&イザベル・アキリザン、淺井裕介 ほか

種子島宇宙芸術祭

テーマ:自然と科学と芸術の融合
開催日時:2017年夏
会場:種子島島内
公式サイト:http://space-art-tanegashima.jp/

ほかの芸術祭とは一風変わった「宇宙」がテーマの芸術祭。世界で最も美しいロケット発射場がある種子島。そんな種子島の全島でさまざまな作品やアートプロジェクト、イベントが繰りひろげられます。芸術祭をきっかけに、宇宙をもっと身近に感じる体験をしてもらいたいという願いが込められています。ロケットの他にもきれいな星空やおいしい特産物など、種子島自体も魅力のひとつ。

奥能登国際芸術祭2017

テーマ:最涯の芸術祭、最先端の美術
開催日時:2017年9月3日(日)~2017年10月22日(日)
会場:石川県珠洲市全域
公式サイト:http://oku-noto.jp/

奥能登ビジュアル

石川県・能登半島の先端に位置する珠洲(すず)市を舞台に初開催される芸術祭。珠洲の土地・生活・人々の魅力を再発見するアーティストが参加し、珠洲の人たちと共につくりあげる、今までにない新しい芸術祭を目指しています。総合ディレクターは北川フラムさん、クリエイティブディレクターに浅葉克己さん、コミュニケーションディレクターに福田敏也さん、公式写真には石川直樹さんを起用。

能登半島の先端に位置する石川県珠洲市。古くから海と陸の交流が盛んに行われ、特異な文化が育まれた珠洲は、地理的に孤立していることから、日本文化の源流ともいうべき昔ながらの暮らしや風習がいまでも残る町。“忘れられた日本”がそこにあります。連日のように「キリコ祭り」が行われ、奥能登が一年で最も活気づく秋に開催される「奥能登国際芸術祭2017」は、伝統文化と最先端の美術が響き合うアートの祭典です。

【参加アーティスト】浅葉克己、アデル・アブデスメッド、アローラ&カルサディージャ、石川直樹、EAT&ART TARO、岩崎貴宏、ONGOING COLLECTIVE、角文平 ほか

また、3年に1度のトリエンナーレ形式で開催される、アートフェスファンにはおなじみの芸術祭も2つ紹介します。

ヨコハマトリエンナーレ 2017「島と星座とガラパゴス」

テーマ:島と星座とガラパゴス
開催日時:2017年8月4日(金)~2017年11月5日(日)
会場:横浜美術館 他
公式サイト:http://www.yokohamatriennale.jp/index.html

横浜市で3年に1度行なわれる現代アートの国際展。これまで、国際的に活躍するアーティストの作品を展示してきたほか、新進のアーティストも広く紹介し、最新の現代アートの動向を提示してきました。

第6回目となる今回は、世界の「接続性」と「孤立」の状況についてさまざまな角度から考えることがテーマ。相反する概念や側面が複雑に絡み合う世界のありようについて思索を巡らせ、先行きの見えない複雑な時代に人聞の勇気と想像力や創造力がどのような可能性を拓くことができるのか、来場者とともに考え、新たな視点を開港の地・横浜から発信していくイベントです。

【構想会議メンバー】スハーニャ・ラフェル、スプツニ子!、高階秀爾、リクリット・ティラヴァーニャ、鷲田清一、養老孟司、逢坂恵理子、三木あき子、柏木智雄

札幌国際芸術祭2017

テーマ:芸術祭ってなんだ?
開催日時:2017年8月6日(日)~2017年10月1日(日)
会場:札幌芸術の森、モエレ沼公園、まちなかエリア、円山エリア、札幌市資料館 他
公式サイト:http://siaf.jp/

今回のテーマは「芸術祭ってなんだ?」。ゲストディレクターに音楽家の大友良英さんを迎え、美術や音楽、デザインなどジャンルにとらわれないさまざまなプログラムが展開されます。緑に囲まれた札幌芸術の森やモエレ沼公園、都市の活気と歴史が同居するまちなかエリアなど、特徴の異なる各会場を巡ることで、札幌の多様な魅力を体感できます。

大友さんは、「これまでの芸術祭とはいろんなところがちがうかも知れません。でも、ハードルをとことん下げつつ、遊びの仕掛けもいっぱいつくりつつ、普段アートに接していない人もアートに深くはまっている人も、どっちにとっても面白い芸術祭にできればと思っています」と、意気込みを語っています。

【参加アーティスト】石川直樹、今野勉、宇川直宏、梅田哲也、大友良英+青山泰知+伊藤隆之、岸野雄一、クワクボリョウタ、Sachiko M、さわ ひらき、テニスコーツ ほか

クリエイターやアーティストの作品を介することで、各地域の個性や新しい可能性を感じられる芸術祭。思い出の地はもちろん、はじめて訪れる場所でも芸術祭をきっかけにそれぞれの地域の良さを感じることができます。これを機会に、2017年はいろいろな地域に足を運んでみてはいかがでしょうか。

岩渕真理子(JDN編集部)