世界中のバイヤーが訪れるアンビエンテに見る日本ブランドの可能性

2019年のアンビエンテのパートナー・カントリーであるインドと「trends」の展示、Messe Frankfurt Exhibition GmbH / Pietro Sutera2019年のアンビエンテのパートナー・カントリーであるインドと「trends」の展示、Messe Frankfurt Exhibition GmbH / Pietro Sutera

日本の強み、それは独自の文化、工芸、デザイン感覚

消費財と呼ばれる、私たちが生活の中で購入する様々な商品。その最新デザインが集まる世界最大級の国際消費財見本市がAmbiente(以下、アンビエンテ)だ。キッチンやテーブルウェアの「Dining」、ギフトやファッション・ジュエリーの「Giving」、インテリア関連の「Living」と大きく3つのエリアで構成され、その展示面積は東京ビッグサイト全て(東・西・南館)の約3倍という巨大さ。2019年は、2月8日から12日までドイツ・フランクフルト市で開催された。

その規模は92か国・地域から4451の出展があり、来場者は166カ国・地域から13万6千人、昨年より微増した。来場者上位はドイツ、イタリア、中国、フランスと例年と変わらず、昨年に続き韓国が10位にランクインしている。増加が目立つのはブラジルなどの南アメリカ諸国、アジアではタイ、インドなど。

全世界から有望なデザイナーが集まる「talents」も、チェコスロバキア、インドネシア、マリ、メキシコなど西欧以外の国の存在感が増している。写真はポーランドのUAU project

全世界から有望なデザイナーが集まる「talents」も、チェコスロバキア、インドネシア、マリ、メキシコなど西欧以外の国の存在感が増している。写真はポーランドのUAU project

日本はといえば、品質の良い商品の供給者としての認知が定着している。主催者によるテーマ展示「trends」には今年も数多くの日本ブランドが選ばれていた。

「trends」の展示、この写真に見えるのは伝統的工芸品産業振興協会DENSAN、miyama、h concept 、平安伸銅工業のDRAW A LINEなどの商品

「trends」の展示、この写真に見えるのは『伝統的工芸品産業振興協会DENSAN』『miyama』『h concept』『DRAW A LINE(平安伸銅工業)』などの商品

今回、「Living」と「Giving」エリアを対象とした報道関係者向けに見所を紹介するツアーに2回参加したのだが、その訪問先の約半分は日本のブースだった。ツアーを率いたのはHansjerg Maier-Aichen教授、1983年にデザインブランドAUTHENTICSを創立したデザイナーでもあり、数多くのデザイン賞を受賞している。教授は独自の文化を保ちながら西洋化した日本に、しかも工芸が残っていることに大きな期待を寄せている。

報道関係者向けツアーにて、これは日本のブースではないのだがキッチュな日本文化への関心も高い

報道関係者向けツアーにて、これは日本のブースではないのだがキッチュな日本文化への関心も高い

教授がブースを訪れて、日本の工芸や工芸的な製造方法、デザイナーとのコラボレーション等について言及するたびに、同行する30名ほどのジャーナリストの口から「Japan」「Japanese」とつぶやきが漏れカメラのシャッターが切られる。教授の説明を聞き彼ら彼女らの反応を見て、日本の可能性を改めて認識するとともに、海外からの大きな期待を感じることができた。

報道関係者ツアーで注目されたブースより

miyama

ツアーで「日本の繊細な技術と外部デザイン活用の好例」と紹介された『miyama』の取っ手が付いたお皿『TOTTE-PLATE』。デザインはnendo。写真左がHansjerg Maier-Aichen教授。

伝統的工芸品産業振興協会DENSAN

今年も「trends」に5社11点が選出されツアー訪問先にもなった『DENSAN』、日本の工芸の存在感は増加している印象だ。選出の一つ山形鋳物の鉄瓶・紋コレクション『瓢』は、『鋳心ノ工房』の増田尚紀さんによるもの。

Japan Style

日本の高感度ブランドが集まるエリア『Japan Style』。ツアーでも「必見の場所」と紹介されていた。そこからテーブルウェアの3ブランドを紹介する。

mujun(シーラカンス食堂)、素材特性を生かし伝統技術を用いて、安定とすり下ろしやすさを突き詰めた「SURI BOWL」「SURI PLATE」

『mujun(シーラカンス食堂)』、素材特性を生かし伝統技術を用いて、安定とすり下ろしやすさを突き詰めた『SURI BOWL』『SURI PLATE』


YOnoBI(クロスエッジ)、黒と白、鋳物と陶器というコントラストが鮮やかなティーセット、鋳物の鉄器は人気の定番商品となっている

『YOnoBI(クロスエッジ)』、黒と白、鋳物と陶器というコントラストが鮮やかなティーセット、鋳物の鉄器は人気の定番商品となっている


TIME & STYLE(プレステージジャパン)、アンビエンテと同時期に開催されていたストックホルムファニチャーフェアに日本企業として初出展し大きな話題を呼んだ、アンビエンテでは見本市の特性に合わせてテーブルウェアを中心に展示

『TIME & STYLE(プレステージジャパン)』、アンビエンテと同時期に開催されていたストックホルムファニチャーフェアに日本企業として初出展し大きな話題を呼んだ、アンビエンテでは見本市の特性に合わせてテーブルウェアを中心に展示

「trends」に選出されたブースより

ceramic japan

温度で色が変わるインクを使用した水差しとカップ『Ukiiro』、冷水を入れると柄の色が濃い青に変化する。 デザインは福定良佑さん。

hibi

マッチのように擦って着火するお香、アンビエンテ初出展ながら「trends」に選出された。神戸マッチとお香製造の大発の共同事業で、プロデュースは神戸のTRUNK DESIGN。

h concept

アンビエンテ、そして「trends」の常連。今年は珪藻土の『soil』と宇野公二さんデザインの『Tape+Tape』が選出されていた。

NECKTIE design office

「talents」でアンビエンテ初参加、しかも展示した4商品全てが「trends」に選出された。日本でも大人気の『ティーバッグホルダー・シロクマ』は、こちらでも大注目。

以上、広大なアンビエンテ会場から、一部ではあるが日本ブランドを紹介した。

日本ブランドを世界にプレゼンテーションする大舞台であるアンビエンテ。改装中であったホール6が再オープンし、来年はさらに巨大になる。また、これまで8カ国続いたパートナー・カントリーが今年で終了し“新たに期待されるデザインについてのプログラム”が始まることがアナウンスされている。
来場者の期待、舞台の進歩に応え続けられるような日本ブランドの活躍が、これからも楽しみだ。

山崎 泰(JDN)