日本ポップアート界の巨匠・田名網敬一の作品約110点を展示、「コレクション展 田名網敬一の楽園 空中回廊」が川崎市市民ミュージアムで7月9日から開催
川崎市市民ミュージアムにて、田名網敬一の70年代後半から90年代にかけての作品を中心に集めた「コレクション展 田名網敬一の楽園 空中回廊」が、7月9日から8月29日まで開催される。
1980年代後半から90年代にかけて、「生と死」や「夢・記憶」をテーマにした作品を数多く手がけている田名網敬一。無意識に呼び起こされるイメージへ関心を強めたこの時代の作品には、戦争により飽和状態に達していた幼少期の記憶や、大病を患った時に見た幻覚から霊感を得た奇異なモチーフが極彩色で彩られている。松や鶴といった吉祥的なモチーフと、それらを取り巻く不穏な色彩と構図といった相反するものが同居し、混在する田名網の作品は、戦時中に作家の脳裏に焼き付いた残酷なイメージとその異様な美しさを、膨大な記憶の集積によって再構築させる試みといえる。
本展は、同ミュージアムが収蔵する田名網敬一作品のうち、連作のペインティング《夢・四十九夜》(1986年)や、《ハリウッド・スターダスト》(1986年)シリーズ18点を一堂に公開するほか、70年代後半から90年代にかけて制作されたポスター・版画作品と、一連の立体作品や実験映像作品(田名網敬一スタジオ蔵)を中心に約110点を展示。現在の創作活動にいたるまで常に作家に鮮烈な印象を与え続ける、田名網の「記憶」を辿る展覧会となる。