野村萬斎×真鍋大度のコラボ再び、日本最古の舞と最新テクノロジーが融合する「三番叟 FORM Ⅱ」1月2日・3日に上演
日本の伝統芸能の真髄ともいえる究極の舞「三番叟」。その至芸を極めたいと思っている狂言師・野村萬斎にとって最も大切な演目を、萬斎の舞と囃子方の演奏、リアルタイムに対応する映像演出でバージョンアップした「三番叟 FORM Ⅱ」が、2018年1月2日と1月3日の2日間、東京国際フォーラムで開催される。映像演出はメディアアーティストの真鍋大度(Rhizomatiks)、リアルタイムCG作成を橋本善久、照明演出を藤本隆行が担当する。
「三番叟(さんばそう)」とは、新年やおめでたい祝賀の会など儀礼的な場で舞う祝典曲で、狂言方が務める役と、その舞事のこと。神が地上に降り立ち、五穀豊穣を祈願するという三番叟。足拍子が多用されるのは、農耕儀礼に関わる地固めの意味も含まれており、舞うことを「踏む」ともいう。面(おもて)をつけず、足拍子を力強く踏み、軽快に舞う「揉(もみ)ノ段」と、黒い老人の面「黒式尉(こくしきじょう)」をつけ、鈴を振りながら荘重に舞う「鈴ノ段」などに分かれ、歌舞伎舞踊や各地の民族芸能でも重要なレパートリーの1つだ。
同演目では、身体の動き全体をレーザーセンサー、頭の動きや方向の変化を位置センサー、床の振動を特殊マイクと加速度センサー、「鈴の段」で使用される鈴には加速度センサーによってセンシングし、すべての身体の動きと表現の変化をリアルタイムでデータライズして把捉しつつ、その場で生成されるリアルタイムCGに反映されていくシステムを採用。また、身体の3Dスキャンテストの解析段階で、動きのデータの読み解きに対して機械学習を反映させ、動きのパターンのデータ解析によるフィードバックを映像表現のプログラミングに活用させる。
舞台上の音響・照明に関しても、身体の動きのデータをリアルタイムで反映させ、その場で変化していく環境を生成し、それによって演者が身体知覚としてその環境変化を演技に影響をフィードバックさせるシステムを形成する。演者の頭の向きは、その場でセンシングされるので、演者が見て感覚する世界の方向性や視点の位置がVRのように背景映像に反映されて変化する。
演者である野村萬斎は、「三番叟」をある意味、汎地球的な生命史観のフローのもとに捉えようとするコンセプトを持っており、今回、背景のプロジェクションされるジェネレーテイブなCG映像には、最新の生物学的なアルゴリズムや数式を反映させた映像表現を試みる。能の持つ身体表現の「型」と、生命の持つ「フォーム(型)」が本来本質的につながっていることを解き明かしていく舞台となる。