【価値を高める仕事術】その会議の時間、ちゃんと活かせてますか? 会議を使いこなすコパイロツトに学ぶテクニック

【価値を高める仕事術】その会議の時間、ちゃんと活かせてますか? 会議を使いこなすコパイロツトに学ぶテクニック
また一緒に仕事をしたくなるようなチームには、日々仕事を進めるなかで、肝になるテクニックや原動力となる想いが潜んでいるはず。本連載では、さまざまな会社のさまざまな職種の方々に、「価値を高める仕事術」と題してその秘訣を各社3回にわたって解き明かしていきます。今回お話をうかがうのは、株式会社コパイロツト(以下、コパイロツト)。「コパイロツト=副操縦士」の名を冠するその会社は、プロジェクトを遂行するマネジメントに強みを持っています。自社内に制作部門を持たず、その時々にベストなチームを組み、クライアントの期待を超えるアウトプットを目指している。プロジェクトを円滑にフライト、着地させるために、副操縦士たちはどのような動きをしているのか。今回はまず、うっかりルーティンになりがちな会議に潜むテクニックについて迫ります。

仕事術テーマ:会議術

効率がいいから、会議をやっている

――普段どんなお仕事をされているのか教えてください。

奥山真広さん(以下、奥山さん):基本的にはWebサイト制作に関わるプロジェクトマネジメントやディレクション、サービス立ち上げのサポートを行っています。僕はもともとCM制作をしていたので業界が違うんですけど、これまで培ってきた進行管理のスキルを別の領域でも使える会社を探していてコパイロツトに入りました。

株式会社コパイロツト ディレクター 奥山真広さん

株式会社コパイロツト ディレクター 奥山真広さん

真野剛彦さん(以下、真野):僕の業務内容も奥山とほぼ同じで、デジタル系の制作をメインにディレクションやプロジェクトマネジメントを担当しています。僕の場合は奥山と違い、コパイロツトに入る前もWeb業界で制作やプランニングをやっていました。

――早速ですが、会議におけるよくある問題点についてうかがいます。

奥山:会議の課題で一番多いのは、参加者が「何のための会議か分かっていない」「情報共有の場だけでルーティンになっている」、そして「役割が分からない人がいる」ことです。そういう状態が慢性的に続くと会議をやっている意味がわからず、モチベーションも下がっていくし、プロジェクト自体を大きく足止めしてしまうこともあると思います。

真野:僕らのやっていることって、「会議」だけを取り出して語るとすごいこだわっているように見えるかもしれませんが、そもそも会議はプロジェクトを進行させるためのものです。会議は一つの手段であって、メールで済むのであれば僕らもメールでいいと思っています。ただいろいろやってみた結果、実際会って話した方が、効率が良いため会議を選択しています。

――会議のコスト意識も問われるとは思いますが、結局会議のほうが効率が良いというのはどういう観点から?

奥山:会議という名の下で必要な人を呼んでこられる点ですね。メールやテキストだけだと、決定権のある人と話ができないとか、スルーされちゃうとかあるので。集まってもらって対面で話せるメリットはあるかもしれないですね。

真野:ほとんどのプロジェクトでは提案して、YESかNOの回答をもらうだけで進められることはなくて、議論を重ねて結論に辿り着きます。議論するという観点からだと、やり取りをメールか資料で行うよりも喋って議論を進めたほうが早い。もちろん最終的にはログを残すという意味でも何らかのドキュメントに議論の結論は落としこまれるのですが、そこにたどり着くまでの過程をきちんと共有しながら進めることで、後から急に変わることも少なくなり、トータルで見ると労力も少なくできるのです。

――社外からの視点として、コパイロツトではどのような準備を心がけていますか?

真野:プロジェクトの方向性が決まったら、どんなプロジェクトでもだいたい週1で定例会議を設定しています。定例会議で何をやるのかはプロジェクト全体のゴールから逆算して、最初にざっと決めてしまいます。とはいえ最初にすべて決めきれませんし、ミーティングで何をするかというのは日々流動的に動かしています。とりあえず何をやらなきゃいけないかということだけは洗い出しておいて、それを並べることで、遅れる場合はスケジュール調整をするということのコンセンサスも取りやすくなります。最初に設計図をつくって全体像を見せて進めるようにしています。

株式会社コパイロツト ディレクター 真野剛彦さん

株式会社コパイロツト ディレクター 真野剛彦さん

――それは大抵のプロジェクトにおいて応用が利くものでしょうか?

真野:僕らはミーティングの最後に、次回のアジェンダを決めていて、今回決まってないものがあったら、次にどうするのかも全員で共有しながらやっています。最初に引いたスケジュールどおりにいかない部分も出てきてしまうので、日々チューニングを重ねます。「会議設計を最初にします」と言うとヘビーな印象になるんですが、実はスケジュールを引くのと一緒で、決めなきゃいけないことをいつまでに決めなきゃいけないか考える。僕らは各会議にマッピングしているだけであって、皆さんが普段からやっていることと変わりません。

ミーティングの終わりで次のアジェンダをざっと決める。次回のアジェンダは直前で展開、会議の冒頭で再確認しています。だから会議の途中での議題追加は極力避けます。プロジェクト全体の決めなければいけないことを管理しています。

――スケジュールを可視化していくときにどんなツールを使っていますか?

奥山:使用ツールはドキュメント、スプレッドシート、スライド形式など、柔軟に使い分け、基本はクライアントの進めやすい方法、ツールで進めるようにしています。なので、書類形式で送ることもありますし、テキストをメール本文に貼り付けて送ることもあります。

実際アジェンダの順番を変更したり、予定時間を修正したり手作業で調整するのが地味に手間な部分もあり、スムースな会議運営をサポートするツールの開発を実は進めています。コパイロツトでいつもやっている、アジェンダに紐づくゴールや目的を一通り書くので、どういう状態ならゴールになるのかを明確にできると思います。このツールを使うことで、会議が楽しく、余計な苦労をすることなくできるとよいですね。

――ひとつのプロジェクトのなかで、会議のスケジュールはどのように立てていますか?

真野:まずユニットと呼ばれるフェーズに分けます。ただ、そのなかでどう決めていくのかは、テンプレートのようにがっちりと決まった手法はないですね。僕らはマネジメントで入ることが多いので、制作は制作会社にスケジュールをひいてもらうのを基本として全体を組み立てていきます。いまは、一案件につき二人以上で担当していて、この場合にはこんな感じで進める、というのも個人の経験によるものだけではなく、社内のナレッジとして残すようにしています。

会議という現場でのコミュニケーション

――会議のコミュニケーションで気を使っていることは?

奥山:人間力になっちゃうかもしれないんですけど(笑)。やっぱり真摯に向き合うことですね。会議やもちろんプロジェクトで発生した疑問はためておいて、良きタイミングで聞きだせるようにしておくとか。わからないことをわからないままにしない。

真野:一つのことを決定するのにどんな経路をたどるかは相手次第なので、そこはパーソナリティによります。ただ、僕らがやっているのは、議論やゴールがずれるのを防ぐこと。ずれてもいいんですけど、クライアントとそのことを共有することが重要。なので、しつこいくらいに「いまやっていることの目的とゴールはこれだからいまここにいる」ということを意識しています。今日決めなきゃいけないことに対して色々ディスカッションしているうちに、「そもそもここが間違っているのでは?」という議論になっても別にいいんです。ずれたまま何かが進んでいくのは一番避けたいところで、みんなで向かっている方向性を合わせたいということです。

これとは別に、会議を進めるという点でファシリテーションスキルが必要で、定期的に案件ごとの振り返りを行なっています。そしてその振り返りで気づいたことを、必ず行動に落とし込むまで行なっています。案件に関わったメンバーに加えて、最近はクライアントも一緒に振り返り会を行うことも多く、そこも含めてチームの質を上げる面で協力してもらっています。

――プロジェクトがうまく行きはじめた実感はどこから感じますか?

真野:例えば会議でチーム全体で自然に次のアジェンダを気にし始めた時でしょうか。次に何をしなくてはいけない、そのためには今日はどこまでやらなくてはいけないというのを意識し始めると会議としてはうまく機能するようになっていると思います。あとは本当にうまくいく、というのは関わっている人たちの満足度もあると思うので、なかなか僕らだけでうまくいった、うまくいかなかったというのを定義するのは難しいのですが、僕らがポジションチェンジした後も、現場で同じドキュメントや会議のフォーマットが引き継がれて使われたりしているのとかを知ると、「便利に思ってくれたんだな」と嬉しくなります。

――最初の大きいゴールを設定するのに、時間はどれくらいかけますか?

真野:「新規事業で何をやりたいか」などは、半年かかる時もありますし、それだけで1プロジェクトと言えるかもしれません。ただ、僕らも抽象論だけをやっているわけではなくて、現場の人間なので、新規サービスの立ち上げは仮説検証もセットで進めることが多いです。プロトタイプをつくってユーザーテスト、すなわちつくって試すことはやっています。

奥山:ゴールがなかなか決まらないときは、直近ユニットの3か月で何をするのかという視点で考えはじめることもあります。そして、ある程度見えた段階で大きいプロジェクトとしてのゴールを見据える。順番が逆になっちゃうんですけど、柔軟に組み替えています。

真野:ゴールからブレイクダウンして行くパターンと、期間からアウトプットを定義して進めて行くパターンの2種類あると思います。

しっかり準備をしておくと、やっぱりみんなが楽

――参加人数が多い会議では、また別のファシリテーションの能力が必要ですよね。

奥山:それもあるので、アジェンダはできる限り事前に細かいところまで書き込んでおきます。もちろん時間にも限りがあるので、「決めるために集まっている」というマインドでファシリテーションしています。

真野:個人的には何か決められない時ってデータが足りないか、誰かの勢いが足りないかが原因だと思っています。データが足りないなら当然時間をもらってデータを集めますし、勢いが足りないなら決定の期限を伝えます。

――最後に、丁寧にゴール設定をするのは、言い換えれば仕事が増えるということにもなります。そこでの工夫を教えてください。

真野:日々、新しいタスクが発生し、その度に進め方を考えなきゃいけないことって、多いと思うんです。ただ僕らのやり方のように、最初に土台をつくっておけば、新しいことが発生しても、調整や修正がしやすい。確かに、一見面倒でちょっと必要性が理解しづらいかなとは思いますが、僕らはこういった準備をしておくことで、後々で楽だったという成功体験があるから続けていられるんだと思います。何かをつくるとなったら、進め方よりも、品質に頭や労力をかけた方がいい。だから辛くても最初にまとめてやってしまいます。どんな人でもだいたいこんな感じでこんなところを通過しながらゴールに向かうんだろうな、というあたりをつけて動いていると思うので、実はそんなに見た目ほど大変だったり新しい手法ではないと思っています。

コパイロツトの「会議術」ポイント
・決定権のある人を会議の名の下に招集する
・プロジェクト全体のゴールから逆算、細かいフェーズに分けて会議を設計
・ミーティングの終わりに次のアジェンダを決める、スケジュールがズレてきたら適宜チューニング

構成・文・撮影:八木あゆみ 聞き手:瀬尾陽(JDN)

株式会社コパイロツト

株式会社コパイロツト

制作部門を社内に持たない、プロデュースとプロジェクトマネジメント、ディレクションに特化したユニット。プロジェクトの特性に合わせ、常に最適なチームづくりを目指し、プロジェクトを運営管理。クライアントやパートナー会社の「COPILOT / 副操縦士」となり、目的地にたどり着くまでのプロセスをトータルでサポートしている。
https://copilot.jp/