細部に宿るフォントデザインのこだわりとは―Canvaで使える「モトヤフォント」の魅力(2)

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細部に宿るフォントデザインのこだわりとは―Canvaで使える「モトヤフォント」の魅力(2)

フォントの魅力を伝えることで、デザインの可能性が広がっていく

――Canvaが今後のモトヤフォントに期待することや、さらなるコラボレーションの可能性などがあれば教えてください。

フォントの勉強会を一緒に開催するといった取り組みがあると面白いかもしれません。実際にCanvaのコミュニティではユーザー向けの勉強会やクリエイター間の意見交換がおこなわれることもあり、人気のあるコンテンツなんです。

素人の目から見るとモトヤフォントと他社のフォントの違いや特性に気づけないといった場面がどうしてもあるかと思いますが、制作者は一つひとつのディテールにこだわってつくっているはずです。そうしたフォントデザインに込めた思いをつくり手と使い手で共有できれば、使用用途の可能性がさらに広がっていくはずです。

Canvaでは、特定のフォントやクリエイターのデザインを使い続けることでファンになっていくユーザーが多いのも面白いところです。モトヤフォントのファンが増えることで、そこにコミュニティが形成されたり、便利で革新的な使い方が共有されたりしていく。

世の中には文字デザインにこだわったことのない人がまだまだ大多数いるなかで、デザイナーだけでなくビジネスや教育分野といったノンデザイナーの方々にもフォントの魅力を一緒に伝えていくことができれば面白いんじゃないかと思っています。

KTさんポートレート

 

モトヤフォントの利用数No.1は「UDモトヤ明朝」

今回、インタビューの最後にCanvaでのモトヤフォント利用ランキングを教えていただきました。

1位は、日本語フォントのなかでも一般的なスタイルとされる明朝体の「UDモトヤ明朝」。スマートな印象で、ビジネスシーンにも利用できる汎用性の高いフォントです。続く2位の「モトヤゴシック」は、力強さと柔らかさを兼ね備えた、親しみのあるゴシック体。3位には、カジュアルさや少し幼さを感じさせるような丸ゴシック体の「UDモトヤマルベリ」が入りました。4位以降のランキングは以下の通り。

1位 UDモトヤ明朝

2位 モトヤゴシック

3位 UDモトヤマルベリ

4位 Sモトヤ大楷
5位 UDモトヤアポロ
6位 モトヤマルベリ
7位 UDモトヤシーダ
8位 モトヤ明朝
9位 Sモトヤ新楷書
10位 モトヤ丸アポロ

Canvaに100種類ものフォントが導入されているモトヤフォント。もしフォント選びに迷った際は、利用シーンやデザインのテイストを踏まえつつ、上記のランキングもぜひ参考にしてみてください。

Canvaで使えるモトヤフォント3選

フォントにはスタイルごとにさまざまな表情があり、デザインのこだわりが込められています。モトヤフォントの公式サイトには各フォントの特徴を紹介する書体見本のページがありますが、ここではその中から3つのフォントをピックアップしてご紹介。

■モトヤ丸アポロシリーズ

丸アポロは、スッキリとして明るいイメージが特徴の書体「アポロ」から生まれた書体です。ハネ先や角を丸めることで柔らかさを表現しており、点の押さえや右ハライの終筆部分などは丸めず鋭角にすることでまろやかな中にもシャープさをかもし出しています。

本文から見出しに使用可能なウエイトをラインナップして、より多彩な文章表現が可能になりました。1969年にタイプ活字として開発された「アポロ」は、半世紀近い時を経て書体づくりへの真摯な姿勢が引き継がれ「丸アポロファミリー」へと昇華を遂げました。

例えば看板などでの大きい表示や、YouTubeの動画のテロップなど、短い表示時間でも伝えたいことをしっかりと伝えることができ、それでいてきつい表現になりにくいところが特徴です。

【モトヤ丸アポロ4】

【モトヤ丸アポロ6】

【モトヤ丸アポロ8】

■モトヤ教科書シリーズ

教科書体は横線が肩上がりになっています。この角度が一文字の中でも、全文字を通じてもそろっていなければならず、例えば「三」という文字は、上の方から終筆に向かって、徐々に角度を浅くしており、これが横画を視覚的に揃えるときの重要な技術です。

モトヤは正楷書の制作以来、この技術を継承し、研鑚してきました。教科書体もこの技術を十分に発揮して制作しているため、硬筆の力強さと楷書風の柔らかさを表現しながら、安定感あふれる読みやすい書体となっています。

楷書風の伝統的な表情を持ちつつ、それでいてフォーマルで読みやすい部分も持ち合わせており、情報を真面目な印象で記す際に最適で、ネガティブな表現になりにくく、文字がスッと目に入ってくるところが特徴です。

【モトヤ教科書2】

【モトヤ教科書4】

■モトヤ装飾書体シリーズ

装飾書体は、アプリケーションの機能を利用することなく、カタログ・チラシやWebなど幅広い範囲で簡易に効果的な演出が可能な書体です。装飾ラインシリーズは、強調された縁取り効果を持つ書体で、シンプルなデザインがWebでの表示に適しています。

装飾シャドーシリーズは、影付き効果を持つ書体で、力強い印象を与えるためピンポイントでの使用も効果的です。装飾エンボスシリーズは、浮き彫り効果を持つ書体で、写真・画像に重ねて使用することで、手軽にUD(ユニバーサルデザイン)効果が得られます。

例えば幅広い媒体で文字を見せたい時に、文字が背景やまわりのオブジェクトに溶け込んで見えにくくなることがなく、存在感のある文字としてしっかりと演出できるところが特徴です。

【モトヤ装飾LIマルベリ6】

【モトヤ装飾SHバーチ6】

【モトヤ装飾EMシーダ6】

ビジュアルの表情を大きく左右するフォント。約70年にわたり書体開発をおこなってきたモトヤでは、伝統的なスタイルから現代的な遊びを取り入れたスタイルまでさまざまな場面・用途に合わせたデザインを豊富にそろえています。フォント選びの際には、ぜひ本記事も参考に、フォントデザインの細部まで込められたこだわりに注目してみてください。

文:原航平(インタビュー箇所) 撮影:井手勇貴 取材・編集:萩原あとり(JDN)