山崎隆夫 その行路 ―ある画家/広告制作者の独白

兵庫の芦屋市立美術博物館にて、「山崎隆夫 その行路 ―ある画家/広告制作者の独白」が2025年11月16日まで開催されています。
—以下、公式サイトの紹介文を抜粋—
1905年大阪に生まれた山崎隆夫は幼少期より神戸に暮らし、画家を目指しつつも神戸高等商業学校(現・神戸大学)に入学します。在学中、後に版画家となる同窓の前田藤四郎、画家の井上覺造らと美術グループ・青猫社に参加し、同時に芦屋在住の洋画家・小出楢重に師事、阪神間モダニズムのただ中で洋画を学びます。卒業後は三和銀行に勤めながら、1931年に小出が没すると画家の林重義に学び、独立美術協会展や文展への出品を重ね、1943年に国画会会員となります。戦後は芦屋市美術協会や現代美術懇談会(ゲンビ)などの団体にも参加しながら洋画家として活躍しました。
そのような中、銀行員としての山崎は、彼の画壇での活躍に注目した頭取によって三和銀行の広報担当に抜擢されます。各銀行が広報を強化した戦後の時代、独自の美意識を軸に山崎は、菅井汲、吉原治良ら芸術家仲間やアルバイトに来ていた柳原良平によるイラスト、人気女優のポートレイトを採用して数々の広告を制作します。このような山崎の仕事は評判を呼び、1954年には寿屋(現・サントリーホールディングス株式会社)専務・佐治敬三に招かれ、山崎は柳原を伴って寿屋へ入社し、宣伝部長に就任しました。
同年に入社していたコピーライター・開高健のほか、アートディレクターの坂根進、写真家の杉木直也ら、自ら集めた宣伝部メンバーを山崎は「ほん機嫌よう遊びなはれ」という掛け声のもとで率いて、トリスウイスキーの広告やPR誌『洋酒天国』の発行といった広告活動を展開しました。当時の日本人には馴染みの薄かった洋酒文化を、モダンな楽しみとして普及させようとする山崎の仕事が、寿屋独自の宣伝スタイルを築いていくのでした。1964年には株式会社サン・アドを創立し社長に就任。晩年は1962年に居を構えた神奈川県茅ヶ崎市にて、1991年に逝去するまで意欲的に絵画制作を続けました。
山崎の生誕120年の節目に開催する本展は、彼の仕事の全貌を「絵画」「広告」の双方向から展観する初の機会です。阪神間モダニズムから戦後へと至る、山崎が生きた時代背景を踏まえつつ彼の仕事を通観することで、絵画と広告という異なる領域で確かな実績を残しえた山崎の思考と美意識に迫り、その功績を再検証する試みです。
【関連イベント】
●スライドトーク「山崎隆夫の美意識 絵画と広告の仕事を辿る」
日時:10月26日(日) 14:00~15:30
講師:川原百合恵(本展担当学芸員)
会場:芦屋市立美術博物館 講義室
定員:80名
対象:どなたでも
参加費:無料(ただし要観覧券)
※申込不要
●トーク「《卓上の電話》を取り次ぐ」
日時:11月3日(月・祝) 15:00~18:00
講師:長谷川新(インディペンデントキュレーター)
会場:旧芦屋郵便局電話事務室(芦屋モノリス)、芦屋市立美術博物館 展示室、講義室
定員:30名
対象:どなたでも
参加費:無料(ただし要観覧料)
※要事前申込
●担当学芸員によるギャラリートーク
日時:11月15日(土) 14:00~15:00
対象:どなたでも
※申込不要
●ボランティア・スタッフによる鑑賞サポート
日時:会期中毎週水曜日 13:00~16:00
対象:どなたでも
参加費:無料(ただし要観覧券)
※申込不要
※関連イベントの詳細は、公式ホームページをご覧ください。
開催期間 | 2025/09/20(土)~2025/11/16(日) |
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時間 | 10:00~17:00(入館は閉館30分前まで) |
休館日 | 月曜日(10/13、11/3は開館)、10/14、11/4 |
入場料 | 一般1,000円/大高生700円/中学生以下無料 |
会場 |
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会場電話番号 | 0797-38-5432 |
会場URL | https://ashiya-museum.jp/ |
詳細URL | https://ashiya-museum.jp/exhibition/exhibition_next/20074.html |