辰野登恵子 オン・ペーパーズ

A Retrospective 1969-2012

辰野登恵子《WORK 77-D-10》/1977年/シルクスクリーン、紙/個人蔵/©辰野剛、平出利恵子/撮影:岡野圭 辰野登恵子《WORK 77-D-10》/1977年/シルクスクリーン、紙/個人蔵/©辰野剛、平出利恵子/撮影:岡野圭

1950年に長野県岡谷市に生まれ、東京藝術大学に学んだ辰野登恵子は、1970年代にドット(点)やグリッド(格子)、ストライプなどの規則的なパターンを用いて、理知的で抑制された表現の版画を発表し、若くして注目を集めた。ほどなく制作の中心を油彩に移し、豊潤な色彩で有機的な形象を描く独自の抽象表現を追求、2014年に亡くなるまで自らの絵画を深化させ続けた。

大型の油彩が高く評価された辰野だが、本展では版画やドローイングなど紙の上の表現に光を当て、辰野の画業を再検証する。初期のシルクスクリーンによるコンセプチュアルな版画に始まり、油彩の制作を本格的に開始したのちも、辰野はそれと並行してエッチングや木版、リトグラフなどさまざまな版種による版画の制作に取り組んでいる。油彩での試みを版画で追体験し、あるいは版での成果を油彩に反映させる制作によってもたらされた、油彩と版画の豊かな並行関係は特筆すべきことである。また、油絵具やパステルによる大型のドローイングは、単に油彩のためのエスキースにとどまらない、画家にとって重要な実験の場となっていたことも窺える。

紙の仕事を傍らに、辰野登恵子の絵画を捉え直すこと。これまでまとまった展観の機会が限られていた紙の仕事を中心に、油彩30点を含む約220点の作品で40年あまりの軌跡を振り返る本展が、辰野の画業のクロノロジーに新たな視座を与えてくれる。

【関連イベント】
●トークイベント「辰野登恵子と絵画の現在」
ゲスト:千葉正也、髙木大地、松井えり菜
日時:2019年1月13日(日) 15:00~16:30(開場は30分前)
会場:2F 講堂
定員:70名(当日先着順)
料金:無料

※そのほかの関連イベントは、下記詳細URLをご覧ください。

開催期間 2018/11/14(水)~2019/01/20(日)
※イベント会期は終了しました
時間 10:00~17:30(入場は閉館30分前まで)
休館日 月曜日(12/24、2019年1/14は開館)、年末年始(12/27~2019年1/4)
入場料 一般1,100円/大高生880円/中学生以下と障害者手帳をご提示の方(付き添い1名を含む)は無料
参加アーティスト 辰野登恵子
会場
  • 埼玉県立近代美術館
  • 埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1
会場電話番号 048-824-0111
会場URL http://www.pref.spec.ed.jp/momas/