極めて水準の高いポスターやコラージュ作品を長年にわたって数多く制作し、人々に知的な感動を与え続けてきた、ポーランドを代表するグラフィックデザイナー、ロマン・チェシレヴィチ。研ぎ澄まされた感性は、鏡像を駆使したように全体を左右両側から押し込み、シンメトリーを維持しながら中央部を消失させていく新境地の手法を切り拓き、観る者に揺さぶりをかける力強いイマジネーションを生み出してきた。

ロシア構成主義とバウハウスを学び、50年代後半はポーランド・ポスター芸術派として、ヘンリク・トマシェフスキやヤン・レニッツァらと共に活躍したチェシレヴィチ。60年代の初期にフランスへ渡り、フォトモンタージュの巨匠、ジョン・ハートフィールドなどにインスピレーションを得て、丹念に構成された幻想的な世界観を呈示した。映像をモンタージュの手法で料理し、フランスのグラフィックデザインやアート領域にも多大な影響を与えている。60年代の後半には、雑誌『エル』や『ヴォーグ』のADとして、大胆で斬新なエディトリアルデザインとフォトモンタージュに情熱を燃やし、ビジュアルスキャンダルによる風刺や皮肉、批判をおこない、ポピュラーマガジンの概念を変えた。

日本初となる本展では、ポズナン国立美術館の貴重な収蔵作品から、ポスター122点、コラージュ29点、雑誌・そのほかグラフィック作品38点を厳選し、チェシレヴィチの本質に迫る。

【関連イベント】
●オープニングパーティ
日時：5月15日（月）　17:30～19:00
会場：DNP銀座ビル2F

●ギャラリートーク
日時：5月15日（月）　16:00～17:30
出演：アンナ・グラボフスカ＝コンヴェント（ポズナン国立美術館ポスター・デザインギャラリー部門学芸員）
会場：DNP銀座ビル3F
※要予約
※その他のスケジュールは、下記詳細URLをご覧ください