ペインター・西雄大による新作個展「虹の洞窟」が、東京・中目黒のVOILLDで開催される。

西雄大は愛知県出身、現在東京を拠点に活動しているペインターだ。西の作品群は、シンプルに削ぎ落とされた力強い線、選び抜かれた色、既視感のあるモチーフや、あるいはそれが変容し独自の形態になった物によって構成されている。それらは彼のルーツともなる80年代のアメリカンコミックやヒーロー、ストリートアートなどの影響を受けながら、自身の思考を通して表現している。一見、馴染みやすくシンプルに見える西の作品の背後には、現代においての物質に対する価値観や、複雑に入り組んだコミュニケーションの形、多様化する個性のあり方への皮肉などが見え隠れしている。さまざまな問題をユニークに単純化し、刺激的な配色と、遊ぶように流れる線で描かれた作品群は、見る者が直感的にその訴えや本質を感じ取ることができるほど、簡潔にデザインされている。

本展では、新作の約20点におよぶカラフルなペインティングの平面作品と、巨大な壁画作品が発表される。それらが西の自由な発想により融合し、現代版ラスコーとも言えるような広大で生き生きとした贅沢な瞬間となって、西の新たな挑戦を空間全体で感じることのできる展示となっている。数あるポジティブなシンボルの中でも最小限の点と線で構成されたスマイルマークをはじめ、よりシンプルで逞しいものをモチーフにした作品群は、西の抱く未来への希望や願いを垣間見ることができ、私たちに垣根を越えた楽しみや幸せについて示唆しているかのようにも感じることができる。

会場では、西の初の試みとなるセラミックフィギュアも発表される。職人によりひとつひとつ丁寧に制作された、数量限定のフィギュアとなる。また、展示に合わせて制作されたオリジナルグッズも販売。