おもにフランスに拠点をもつエルメスのさまざまな工房での滞在制作プログラムが紹介される「『眠らない手』エルメスのアーティスト・レジデンシー展」が、銀座メゾンエルメス フォーラムにて開催される。

世代を超えて伝承される技をもつ職人と創造性豊かな現代アーティストが出会い、共有と協働を行うレジデンシー・プログラムは、2010年以来エルメス財団によって定期的に開催されている。工房に滞在するアーティストたちは卓越した職人技に触れるとともに、シルク、皮革、銀、クリスタルといった普段は手の届きにくい素材を扱う機会を得ることになる。3人のメンターによって選出された作家たちは、それぞれ職人とともに試行錯誤を重ね、新しい作品を生み出した。

本展は「眠らない手」と題し、職人やアーティストの「動き」や「しぐさ」に注目している。多様な道具を用いつつ、緊張感や集中力を要する職人たちの世界において、言語を介さないコミュニケーションはとても重要である。職人たちのその手には、熟練の技と意思、感情といった強いメッセージが秘められている。一方、アーティストたちは、素材を「為すに任せる」大胆さで扱い、その手から自由な形やプロセスを誘い出す。高度な技で洗練を導き出す反復的な無意識の動作の中に、抽象的な思考や偶然の身振りといったもうひとつの無意識が加わることで、素材が変容していく。

本展では、2014年から2017年の間に参加した9名のアーティストの作品が2期にわたって展示される。レジデンシー・プログラム期間中に制作された作品のみならず、各作家の過去の作品もあわせて展示することにより、若きアーティストたちの想像力と、エルメスの素材や技との出会いがより多角的に紹介される。

【会期】
Vol.1：2018年9月13日（木）～11月4日（日）
Vol.2：2018年11月15日（木）～2019年1月13日（日）