花森安治の仕事-デザインする手、編集長の眼

『美しい暮しの手帖』 1世紀1号(創刊号)、発行:衣裳研究所、1948年9月20日刊、暮しの手帖社蔵 『美しい暮しの手帖』 1世紀1号(創刊号)、発行:衣裳研究所、1948年9月20日刊、暮しの手帖社蔵

花森安治(1911-1978)は、終戦まもない1946年3月に、大橋鎭子を社長とする衣装研究所を銀座に設立し、新進の服飾評論家としてデビューした。“直線裁ち”という誰もが簡単に作れる洋服を提案した「スタイル・ブック」は評判を呼ぶが、かねてより計画していた生活家庭雑誌「美しい暮しの手帖」(のちの「暮しの手帖」)を1948年9月に創刊し、その後、社名も暮しの手帖社へと変更する。

「衣・食・住」を基本にすえつつ、もののない時代には「工夫とアイデア」による豊かな暮しを提案、電化製品が普及した高度成長期には「日用品の商品テスト」を実施、そして食品添加物や公害問題が叫ばれた70年代には「社会の矛盾を鋭くえぐる批評」を誌面で展開し、ペンで権力に挑んだ。30年間にわたり一切広告を入れず、発行100万部に迫るまでに成長させた雑誌「暮しの手帖」を舞台に、表紙画からカット、レイアウト、新聞広告、中吊り広告まで、取材や執筆はもとより、制作から宣伝まで、すべてを手がけたのが編集長・花森安治だったのである。

本展では、花森の作品そのものともいえる「暮しの手帖」が庶民に向けて発したメッセージに、改めて耳を傾ける。戦時中の大政翼賛会での仕事にも着目しつつ、花森が全身全霊をかけて打ち込んだ出版活動を、ひとつの雑誌を超えた「運動」として捉え、多彩な仕事の中からその思想を探っていく。

【関連イベント】
●講演会「父・花森安治のこと」
日時:2017年3月11日(土) 14:00~15:30(開場は13:30)
話し手:土井藍生(花森安治の長女)
聞き手:矢野 進(本展担当・世田谷美術館学芸員)
会場:世田谷美術館 講堂
聴講料:無料
定員:先着140名
※手話通訳付き

※その他関連イベントは、公式ホームページをご覧ください。

開催期間 2017/02/11(土)~2017/04/09(日)
※イベント会期は終了しました
時間 10:00~18:00(最終入場は閉館30分前まで)
休館日 月曜日(ただし、2017/3/20は開館)、3/21
入場料 一般1,000円/65歳以上・大高生800円/中小生・障がい者の方500円/小・中・高・大学生の障がい者・介助者(当該障がい者1名につき1名)は無料
参加アーティスト 花森安治
会場
  • 世田谷美術館
  • 東京都世田谷区砧公園1-2
会場電話番号 03-3415-6011
会場URL http://www.setagayaartmuseum.or.jp/