阿部展也-あくなき越境者

《作品》1968年_浜松市美術館蔵 《作品》1968年 浜松市美術館蔵

新潟県に生まれ、独学で画家を志した阿部展也(1913-1971)は、瀧口修造との共作による詩画集『妖精の距離』で若くして注目を集めた。また、雑誌『フォトタイムス』に実験的な写真を発表するなど、戦前の前衛写真の運動にも重要な足跡を残す。1941年からは陸軍の報道部写真班に所属し、出征先のフィリピンで雑誌の表紙や挿画、写真を手がけ、戦後に帰国すると、キュビスムやシュルレアリスムに影響を受けた人間像を多く描いた。1950年代末以降は、具象的なモチーフを離れて、アンフォルメルから幾何学的抽象へと作風を目まぐるしく変化させていく。また、インドや東欧、アメリカに渡って、持ち前の英語力で各国の美術家と親交を結び、1962年から没するまではローマで過ごした。その間に海外の最新の美術動向を、文章や展覧会を通じて精力的に日本に紹介していた。

こうして阿部展也の生涯を辿ると、その活動の多様さに驚かされる。並外れたバイタリティでジャンルや文化を越境し、自ら変貌し続けるとともに、広い視野に立った創作と言論によって日本の美術界にも大きな影響を与えた阿部展也。本展では、初期から晩年にいたるまでの主要作品に加えて、雑誌や写真、下絵といった資料や、交流のあった国内外の美術家の作品を含む約230点によってその全貌に迫る。

【関連イベント】
●講演会「戦時下の道標-フィリピン時代の阿部展也」
日時:9月16日(日) 15:00~16:30(開場は30分前)
講師:副田一穂(愛知県美術館学芸員)
場所:2F 講堂
定員:100名(当日先着順)
料金:無料

●スペシャル・ギャラリートーク
日時:9月29日(土) 15:00~16:00
講師:松沢寿重(新潟市美術館主幹/学芸員、本展覧会企画者)
場所:2F 展示室
※企画展観覧料が必要

※そのほかの関連イベントは、公式サイトをご覧ください。

開催期間 2018/09/15(土)~2018/11/04(日)
※イベント会期は終了しました
時間 10:00~17:30(入場は閉館30分前まで)
休館日 月曜日(ただし、9/17、9/24、10/8は開館)
入場料 一般1,000円/大高生800円/中学生以下および障害者手帳をご提示の方(付添い1名を含む)は無料
参加アーティスト 阿部展也
会場
  • 埼玉県立近代美術館
  • 埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1
会場電話番号 048-824-0111
会場URL http://www.pref.spec.ed.jp/momas/