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デザインのチカラ : デザインの現場に取材し、ディレクションの考え方、製品デザイン等に迫る


INTERVIEW 08


INTERVIEW 08:ブリヂストンサイクル 技術管理部 デザイン課長 中森和崇氏



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ARTICLE 2

自転車のデザイン


 「HYDEE.B」は、通常よりもデザイン面の理想追求に時間をかけることができた。同じ会社の同僚である設計や開発の苦労が分かるだけに、幾度もの変更には遠慮もある。外部とのコラボレーションが駆動力となり、新しい電動自転車のデザインとして結実した。



中森氏 「実質約2年かかった“HYDEE.B”は特殊なケースで、新製品でも普通は半年から1年ほどで完成させます」

「電動自転車の販売台数は伸びています。今後は、一般的な自転車に後から電動装置を取り付けるデザイン変更ではなく、デザインの関わり方も変わっていくのではないでしょうか。

あえて電動っぽく主張する形にするのか、逆に電動であることを感じさせないコンパクトさを実現するのか、デザインが決定づける要素はたくさんあります。ただしまず、自転車の機構を把握していることが大切。基本が理解できていれば、電動自転車だからといってデザインに大きなハードルは感じられません」

 プロダクトとしての自転車は、スペックや目的に従ってある程度スタイルが確立されている。とはいえ、デザイナーの個性が表れるものでもある。

「社内にはいろいろなタイプのデザイナーがいます。細かいディティールにこだわる人もいれば、ダイナミックな乗り物が好きな人、家電風なデザインが得意な人も。僕自身、入社前に自転車マニアだったわけではなく、自転車をデザインするようになってから好みが明確になってきた面もあります。ブリヂストンサイクルは創業当時からデザインを重視していますし、個性の異なるデザイナーがいるのは良い環境だと思っています」

「僕自身、個人的な趣向を自転車で表現したいという欲望は強くありません。企画や設計条件のバランスを捉えながら、直線と真円だけで構成する場合もあれば、流線型に近づける形もデザインします」



「自転車は人間の手と脚で運転します。よって少しでも軽い方が扱いやすいですし、メンテナンスの面からも、装飾のための装飾は不要です。すべての機構がむき出しの状態にあるため、すべてがデザインの対象となりますが、一見してそのこだわりが分かるようなプロダクトではありません。走っているのを見かけたり、実際に触れて乗ってみたりすることで良さがわかるのが自転車だと思っています。そのとき部品の細部まで手間をかけていれば、良さは伝わるものです」






「近年、自転車のデザインが注目されるようになり、特にスポーツ車の人気の高まりと同時に、一般ユーザーの選択眼も厳しくなっています。ファッション性の高いカラーリングも受け入れられるようになりました。電動に限らず、自転車のデザインへの要求はさらに高まると考えられます」

 日本を代表する自転車メーカーとして貫いてきた品質の高さを守りながら、新しいことに取り組むブリヂストンサイクルの姿勢が、これからも市場を牽引していくに違いないだろう。


プロフィール

ブリヂストンサイクル株式会社 技術管理部 デザイン課長
中森 和崇 Nakamori Kazutaka

1993年 千葉大学 工学部 工業意匠学科卒業
同年 ブリヂストンサイクル株式会社入社。
1年間設計課に所属し、自転車についての規格や構造を学ぶ。以降デザイン課に所属。
軽快車/スポーツ車/幼児子ども車/子乗せ車/折畳み車/電動アシスト車、等
自転車製品及び関連商品全般のデザイン開発業務に携わる。
2011年より現職、デザインマネージメントを担当。

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