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イメージを具現化させる
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中森氏
「『HYDEE.B』のイメージは、マウンテンバイクやクルーザーバイクです。雑誌の編集長が熱心で、我々のデザインを見て話し合いながら次第にスタイルが明確になりました。絞り込まれたのが“ハンサムバイク”と呼ばれる、お父さんが乗っても違和感のないクルーザータイプです。読者層がマウンテンバイクを経験した世代なので、太いタイヤにも抵抗がないんですね」
イメージを具現化させるために、それまでの電動自転車よりもデザイナーの役割が重要となった。大きく見えるが扱いやすいタイヤパターンの選定や、丸いパイプを使いシンプルでスポーティーな形を追求するといった全体の印象づくりに始まり、パーツの細部に至るまでデザインの目を配る必要があった。
特にチャイルドシートについては、海外製品の流行も無視できなかった。ブリヂストンサイクル推奨のチャイルドシートはあるが、海外製を選ぶユーザーが多かったのも事実だという。そこには、“子どもを乗せてます”と強調する雰囲気を避けたいというユーザーの意識があった。
「日本の基準を満たそうとすると、チャイルドシートにはヘッドガード部分が必要で、高さが出てしまいます。海外製はコンパクトさが人気だったので、子どもの体格に対応しつつ、できるだけ小さく見えるようにデザインしました。こうした工夫の結果、従来のチャイルドシートに比べて軽くすることができて、全体重量の軽量化にも貢献することができました。
また、ハンドルやガード部分、フレーム、荷台にも新規デザインを採用しています。チャイルドシートを取り外した状態でも格好良く見えるように、荷台の形状をタイヤや泥よけガードのカーブに沿わせるなど、徹底してまとめてあります」
機構や機能がそのまま外観となる自転車本体に対し、体にそった有機的な形のチャイルドシートのデザインには、椅子の考え方が必要だ。チャイルドシート本体は樹脂の一体成型なので、金型設計にも関わるなど、プロダクトデザイナーとして幅広い職能を発揮しなくてはならない。
また、強い希望だったのが、チャイルドシートのクッションだ。迷彩柄が安っぽくならないように、生地を探すところから着手し、クッション構造も変更。防水や経年変化へ対応するために生地メーカーの協力も仰いだ。
チャイルドシート
「最終的には社内での評価も得られました。チャイルドシートは今後他ブランドにも展開していこうと考えています。一車種のためのチャイルドシート開発は、通常では考えられませんが、コラボということと、編集部の熱意があってこそ成功したプロジェクトです」
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絶妙なバランスを模索する
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