みんなで「わたしの25」- 秋元淳(公益財団法人日本デザイン振興会)

みんなで「わたしの25」- 秋元淳(公益財団法人日本デザイン振興会)
デザイン情報サイト「JDN」は、インターネット黎明期の1997年にスタートして以来、四半世紀にわたりデザインに関する情報を発信してきました。読者のみなさま、これまで記事にご登場いただいたクリエイターのみなさまのおかげで2022年10月に創刊25周年を迎えます。そこで、これまでにご登場いただいてきたクリエイターや企業のみなさまから、ご自身や「デザイン」の25年を振り返るコラムなど、メッセージをお寄せいただく特集「みんなで『わたしの“25”』」を公開します。

今回は、日本で唯一の総合デザイン振興機関であり、グッドデザイン賞を主催する「日本デザイン振興会」から、秋元淳さんにご寄稿いただきました。

いまから25年前、 1997年度のグッドデザイン大賞が金沢市民芸術村だった。大正期築造の紡績工場跡がリノベーションされて生まれたこの公共施設を、長くグッドデザイン賞の審査を担った建築家の芦原太郎氏は「建築家の技を讃えるより、いかに(建築が)環境や社会や人々に役立っているかを重視する」視点から、「建築が社会を巻き込んだ極めて総合的なデザインの結実であることを示した」と評したが、その見立ては、建築を含めたそれ以降のデザインのありようの変化を予言していたように思える。

デザインを専門的・特別的な地位に止めることなく、社会にあまねく必要とされるものとして定着させていくため、さまざまな試行を重ねてきたのがグッドデザイン賞であり、その取り組みを通じて、デザインの守備範囲と担う役割が拡がったことは確かだろう。

特に2000年代以降は、社会をより良く変えるために、顕在化する社会課題の解決手法としてデザインが注目され、さまざまな立場の人がデザインを共通言語に、それぞれの事業や活動を推進する機運が高まった(『デザイン思考』や『デザイン経営』はその端的な例といえる)。その結果として、デザインが発する「ことば」は25年前と比べてずいぶんと「大きく」そして「正しく」なった。デザインが社会的な正論として堂々と示されるようになったのだ。

一方で、「大きく」「正しい」ことは扱いようによっては怖さもはらむが、決して力ずくでなく、あくまでも私たちの感覚に自然に寄り添う、ヒューマンスケールを伴った「自分ごと」として届けられるのが、デザインの変わることのない良さなのだと思う。
これから先も、そんなデザインの良さがさらに多くの人へ伝わることを心から望みたい。

公益財団法人日本デザイン振興会の最新情報

2022年10月7日、2022年度グッドデザイン賞受賞結果が発表されます。同日から東京ミッドタウンで「GOOD DESIGN EXHIBITION2022」を開催し、大賞候補作や「ベスト100」などを出展。10月14日からは、最新受賞商品販売のpop upストアもオープンします。

Good Design Marunouchi

2021年の「私の選んだ一品」展 会場の様子

10月7日から、約90名のグッドデザイン賞審査委員が選んだお気に入りデザインの紹介「私の選んだ一品」展も、GOOD DESIGN Marunouchiで開催するのでお楽しみに。

https://promo.g-mark.org/
https://www.g-mark.org/gdm/

秋元淳(公益財団法人日本デザイン振興会)

秋元淳(公益財団法人日本デザイン振興会)

公益財団法人日本デザイン振興会は、日本で唯一の総合デザインプロモーションの専門機関として、国際的なデザイン賞であるグッドデザイン賞の主催をはじめとするさまざまなデザイン振興事業を行っています。

https://www.jidp.or.jp/