今回ご紹介するのは、博報堂のアートディレクター・杉山ユキさんが毎年制作している干支の年賀状です。今年2017年の年賀状は、竹尾見本帖本店の「クリエイター100人からの年賀状」展で拝見したのですが、竹尾見本帖 at Itoyaで7月12日まで開催中のイベント「四季をあじわう紙 SIKI ~杉山ユキのステーショナリー~」で今までに制作された年賀状が展示されていると聞き、早速見てきました。

Pero Pero Snake
この年賀状、もともとは杉山さんが個人で制作していたそうで、最初につくったのは巳年(2013年)の「Pero Pero Snake」。昔からあるおもちゃを蛇にみたてたものです。「子供が遊びすぎるので冷凍庫に隠した」など、特にお子さんのいる方からの楽しい反応が多く、次の年から遊べる玩具の年賀状をつくることにしたそうです。
翌年につくられたのが「Run Run Horse」(2014年)。坂に馬を置いて手を離すと、馬がトコトコと動きだします。厚みとハリがある紙を使い、馬の脚を斜めにカットし、馬の自重で動くようにしたのがポイントです。

Run Run Horse

Run Run Horse/組み立てる前の状態
次の未年(2015年)の年賀状がこちら。クリスマスにはトナカイとして、お正月になったら胴体をくるりとひっくり返して羊に変身するリバーシブル仕様。好評だったため、翌年以降の申年と酉年の年賀状は商品化されたそうです。

クリスマスまではトナカイの状態で楽しむ

お正月にはひっくり返せば、羊に変身させられます
申年(2016年)の「Lucky Monkey」。糸を引っ張ると猿がよじ登っていく年賀状。「子供のころに遊んだ木のおもちゃをヒントにつくりました。糸を使用しているので、製品にする際の手作業に時間がかかりました」(杉山さん)。

Lucky Monkey

Lucky Monkey
酉年(2017年)の「Rockin’ Rooster」。手紙をくわえたニワトリがモビールのようにゆらゆらと揺れる年賀状。「どのような形の鳥で、どこにどのくらいの重りをつけたらバランスをとることができるのか、という検証がとても大変でした」(杉山さん)。

Rockin’ Rooster

Rockin’ Rooster

Rockin’ Rooster/パッケージの状態
年賀状というと大抵は年末の忙しいときに短時間で準備することが多いのですが、杉山さんの年賀状はとても丁寧にデザインされていて、なおかつ印刷や加工も凝っており、完成されたプロダクトのよう。こんな素敵な年賀状が送られてきたら、テンションが上がりますよね。年賀状を送られた相手に楽しんでほしいという杉山さんの心遣いが感じられます。
ここで紹介した年賀状のうち、申年と酉年は商品になっているそうですが、それ以外はプロトタイプのため、下記のイベント期間中のみの限定販売だそうです。また、杉山さんがデザインした新しいステーショナリー「SIKI」のほか、干支をモチーフにした遊べる紙のグリーティングカードやご祝儀袋も展示、販売されています。