第23回:120色の「空気の器」

第23回:120色の「空気の器」

同心円状に何本もの細かい切れ込みが入った円形の紙を広げると、空気を含んだ器のような形に変化する「空気の器」。1枚の紙を広げることによって、さまざまな形状の立体ができる意外性や造形としての美しさが際立つプロダクトです。

2010年にトラフ建築設計事務所によってデザインされ、福永紙工のプロジェクト「かみの工作所」から発表されたこの製品は、日本だけでなく、世界にも知られています。発売後、さまざまなクリエイターとのコラボレーションによって種類が増え続け、現在では40種以上になるそうです。

(以下、写真提供:福永紙工)

トラフ建築設計事務所「空気の器」の画像

「空気の器 120 COLORS」

「空気の器 120 COLORS」

「空気の器 120 COLORS」

今までの空気の器には表裏の両面にクリエイターが制作した絵柄が印刷されていましたが、今回は印刷ではなく、紙自体の色を活かした120色の空気の器が登場。紙の専門商社、竹尾が扱うファインペーパー「NTラシャ」四六判100kgのラインナップにある120色すべてを使った「空気の器 120 COLORS」ができました。こちらが120色の空気の器。圧巻です。

「空気の器 120 COLORS」の紙を広げる前の画像

紙を広げる前

「空気の器 120 COLORS」の広げたあと。2枚以上重ねて、色が混ざり合うのを楽しむこともできる。

紙を広げたあと。2枚以上重ねて、色が混ざり合うのを楽しむこともできる。

NTラシャは、ファインペーパーの中でも色数が多くそろうことで知られる定番紙で、良質のコットンパルプを配合した、緻密で温かい肌触りが特徴。紙自体に適度なハリがあるので、紙を細かい網目状に広げても形崩れせず、しっかりと広がります。

空気の器の型抜きの間隔は約0.9mm。これ以上、狭い間隔では抜けない限界だそうです。通常の空気の器にはもう少し薄い紙が使われているので、NTラシャ100kgの厚みで抜くのは難しいのではないか?と思いましたが、適性は良かったとのこと。今までにさまざまな種類の紙で型抜きのテストをしたそうですが、適性のよい紙のほうが少なく、紙選びにはいつも苦労しているとか(和紙のような繊維質の紙は向かないそうです)。

「空気の器 120 COLORS」NTラシャから空気の器を型抜きし、広げた様子。

NTラシャから空気の器を型抜きし、広げた様子。

120色の空気の器は、福永紙工と竹尾とのコラボレーション企画。福永紙工の山田祥子さんに企画意図をうかがったところ、「空気の器は2010年に発表してから、まる8年が経ちました。直径20cmの円形の型を変えることなく、空気の器を長く楽しんでもらえるように展開をしてきました。9年目となる、次の展開を考えた時にあえて素材に立ち返り、紙の風合いや色に着目した空気の器があったなら、折り紙、画用紙のような感覚で空気の器を素材として使ってもらえる。いろいろな人の発想の素になって、世界中で楽しい作品が生まれる予感がします」とのお返事をいただきました。

「直径20cmの紙」という決まったフォーマットの中、素材や絵柄を変えることによって、これほど多彩な展開ができることに驚かされます。フォーマット自体に強度がありながらも、ほかの要素が加わる余地があるところが空気の器の魅力であり、長く続いている理由なのではないかと思いました。これからもあっと驚くようなコラボレーションを楽しみにしています。

「空気の器 120 COLORS」120色1枚入りのパッケージ画像

「空気の器 120 COLORS」120色1枚入り 350円

「空気の器 24 COLORS」24枚入り 3500円。<br /> 竹尾見本帖 at Itoyaでの展示期間中、120色すべての色と24枚セットが会場で販売されています。

「空気の器 24 COLORS」24枚入り 3500円。
竹尾見本帖 at Itoyaでの展示期間中、120色すべての色と24枚セットが会場で販売されています。

■「紙と色の織りなす世界 ―空気の器 120 COLORS―」
会場:竹尾見本帖 at Itoya(銀座・伊東屋)
東京都中央区銀座2-7-15 G.Itoya7F
会期:2019年2月26日(火)まで
http://www.takeo.co.jp/news/detail/002538.html

空気の器
https://www.fukunaga-print.co.jp/airbase/

NTラシャ
http://www.takeo.co.jp/finder/search/details.php?d_id=46

宮後優子(グラフィック社)

宮後優子(編集者/Book&Designディレクター)

宮後優子(みやご・ゆうこ)
編集者/Book&Designディレクター。東京藝術大学で美学美術史を学んだ後、出版社の編集者に。デザイン専門誌『デザインの現場』編集長を経て、文字デザイン専門誌『Typography』を創刊。デザイン書編集者として20年近く活動。デザイン関係の雑誌・書籍・ウェブサイトの編集のほか、イベントやワークショップなどの企画・運営を行う。
http://typography-mag.jp
http://book-design.jp