あまねの杜保育園

土と水と緑を周る、立体回遊動線の保育園

デザインコンセプト
担当:相坂研介設計アトリエ

船橋市内に建つ、「160名の園児が自然と共にのびのび遊べ、同時にすべての保護者や保育士が安心できる」保育園。

建築計画は、中央の庭と外端の木々を周るようにデッキやスロープ、階段やブリッジを巡らせ、子どもが楽しく遊べ、緊急時も逃げやすい立体回遊動線としています。それを外部からは台形の堅牢な壁と屋根で覆い、“楽しさを強さで守る構成”としました。雨風を防ぐ庇(ひさし)付きの外廊下で中庭を囲うロの字型園舎は、忙しい保護者の土足のままの送迎や、対岸の保育士同士の助け合いを容易にするなど、大人の快適性や安心感にも寄与します。

設備計画は、庇による日射制御や坪庭の導く通風、デッキや菜園による屋上断熱、アースチューブによる地熱活用、雨水利用した川や池、その循環電力を生むソーラーパネルなど、徹底的に省エネに配慮。そうした仕組みを園児が普段から目にするように工夫して、それらを自然に学ぶことができるようにしました。さらに屋上には菜園、1階中央にはガラス張りの調理室を配し、食への感謝と関心を深める食育も行います。

細部のデザインは、壁や手すりの角などに安全上必須な「面取りR」を意匠上のモチーフと捉え、照明やトップライトのエッジにまで転用し、すみずみに配しました。外周の坪庭も半円形とし、視線の集まる中心には緑を植え、園児の自然への愛情を育みます。仕上げは、子どもたちにモノの名前を本物の質感を通して覚えてほしいと“木は木らしく鉄は鉄らしく”、素材感を残した使い方を徹底しました。

施設名 あまねの杜保育園
所在地 千葉県船橋市
構造 鉄骨造
規模 地上2階
用途 保育所
延床面積 1,493.54m2
竣工 2015年8月
撮影 小川重雄