せりあがるコンクリートの「大地」と木材の支柱が目を引くこの空間は、中国・蘇州の高級商業施設内にある、アウトドアスタイルブランド「Snow Peak」のショールームです。
ミニマルな造形の中に自然の地形を組み込んだ同ショールームを手がけたのは、KiKI ARCHi。その背景や特徴、コンセプトなどをうかがいました。
■背景
中国蘇州の歴史地区中心部における、アウトドアライフスタイルブランド「Snow Peak」のショールーム。高級商業施設1階のモール中央通路とエレベーターホールに面した場所に位置し、キャンプ用品、アウトドアアパレルなどの幅広い製品の展示に加え、カフェも併設する。
ブランドのスローガンである「人生に、野遊びを」をインスピレーションに、丘や森といった自然の地形を想起させながらも、ミニマルで抽象的な物語を紡ぎ出すハイブリッドな空間を目指しました。
■コンセプト
高級ブランド店が建ち並ぶ1階フロアの中心に、景観(ファサード)を常に変化させる大きな大地をつくり出しました。コンクリートで人工の「大地」を構築することで、ショールームに活力と発見の感覚を吹き込み、訪れる人々を大地との繋がりへと誘い、足元にある世界を再発見させます。
この起伏のある地形は、開放的で自由な空間をつくり出しています。森と焚き火の木材のイメージから様々な高さの木材が、展示台、座席、そして構造的な支柱として空間全体に配置されています。これらの木材は傾斜地に垂直に貫き、人、製品、空間、そして自然を繋ぎ、繊細な交流とコミュニケーションを育みます。
「大地」と「木」が交差し、大地の「表」と「裏」の空間が生まれ、垂直方向では、二重の空間が展開されます。「表」はショッピングやレジャーのためのオープンゾーン、「裏」はディスプレイのためのショーウィンドウの役割を果たします。
■課題となった点、手法、特徴
面積628㎡、外周123m、周囲をモール中央通路とエレベーターホール、他テナントに囲まれているコンテクストにより、ショールームの統一性を維持しつつ、商業施設全体のスムーズなショッピングルートを構築し、さらにブランドアイデンティティを正確に反映させるなど、多面的に設計に取り組む必要がありました。
ショールームは日常的な運用において、柔軟なディスプレイシステムを考えました。固定されていない分散型のディスプレイシステムにより、スタッフは商品の配置を容易に更新でき、ショッピング体験を常に更新できます。商品はスロープエリアの木材、柱、側壁に展示され、座席エリアは平らな床に配置され、「麓で山を眺めながら休む」という自然体験を喚起します。
所在地 | 浙江省苏州市 |
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設計 | KiKi ARCHi |
施工 | 苏州海亿达建筑装饰有限公司 |
敷地面積 | 商業施設内1階 |
延床面積 | 628㎡ |
撮影 | 锐景摄影 |