- デザインコンセプト
- 担当:Vo Trong Nghia Architects+ICADA
美しい海と山に囲まれた、ベトナム中部の街・ニャチャン市の新興住宅地にある個人邸。施主は「大きな庭」のある「大きな家」を希望したが、敷地のサイズは限られている。そこで、平屋の「大きな家」を一枚の屋根で覆い、その全体を「大きな庭」とすることを考えた。
さらに設計を進めていくと、計画地には日本の景観地区のような形態制限がかかっていることがわかる。屋根は勾配屋根とし、面積の約50%を灰色タイルで仕上げる必要があった。この地区のルールを守りながらも、屋上庭園の視覚的インパクトを最大化するため、片流れの大きな屋根面を平行に並ぶ帯状に分割し、緑化した屋根とタイルの屋根が交互に表れるデザインとした。
室内の構成は、この平行に並ぶ帯状のシステムにしたがっている。タイル屋根の下はリビング・ダイニング・寝室などの居室であり、緑化屋根の下は浴室・倉庫・動線などのサービス空間である。木を植えるための土層を確保するために、サービス空間の天井は低く抑えられている。さらに、この平行の帯の中に設けられた、小さな3つの中庭によって室内全体の採光と通風が促されている。
建物の骨組は鉄筋コンクリート造で、壁はレンガ積みである。レンガ壁は二重で内部に中空層を設けているが、これは輻射熱をカットし、防水性を向上させるための工夫だ。室内・室外共に、このレンガを白く塗装することでそのまま仕上げとした。
この住宅は、「木のための家(House for Trees)」という連作の1つである。たくさんの木々が植えられた大きな屋根は住宅というよりも、土木インフラ的なスケールであり、近隣に開かれた都市のポケットパークのようだ。ゆるやかに傾斜した屋根のランドスケープは、周囲の山々と視覚的に連続している。屋根の上の木陰で、施主は海からの風と緑あふれる生活を楽しんでいる。
所在地 | ニャチャン(ベトナム) |
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設計 | ヴォ・チョン・ギア/ヴォ・チョン・ギア・アーキテクツ、岩元真明/ICADA |
主要用途 | 住宅 |
構造 | 鉄筋コンクリート構造(RC造) |
階数 | 地上2階 |
敷地面積 | 492.00m2 |
建築面積 | 235.20m2 |
延床面積 | 276.77m2 |
竣工 | 2015年3月 |
撮影 | 大木宏之 |