彦根の住居

42個の窓によって、不思議な浮遊感をもたらした住宅

デザインコンセプト
担当:タトアーキテクツ/島田陽建築設計事務所

「彦根の住居」は、滋賀県彦根市に建つ、若い夫婦と子どもたちのための小さな住宅です。敷地の住宅地は、しばらく売れていなかったためか荒れた草原のような状態でした。これからいろいろと建売住宅が立ち並ぶ計画だと知り、周囲がどのような状態となっても草原の記憶を残せるような建ち方を探すことにしました。

そこで敷地に対し、斜めに長円形の平面を配置して引きを取りつつ、均等に42個の窓が空いた白い長円形の壁に木造の床や箱を挿入し、生活の場をつくり出すことにしました。たくさんの窓を並べることにより、どのような外部環境となっても細かく分解して受け入れられないかと考えたのです。均等に窓を配置すると不思議なことに見えない部分は都合良く補完されます。生活のさまざまなことと無関係に、でも適切な関係を取り結ぶように窓が均等に配置された白い外周部は、まるで別の用途だった建築をリノベーションしているかのようです。

この住宅は縦に3層に窓を配置することにより、遠目には3階建てのビルのように見えます。そうやって建築の大きさに違和感をもたらし、浮遊感をもたらせないかと考えました。

所在地 滋賀県彦根市
設計 タトアーキテクツ/島田陽建築設計事務所
構造 tmsd萬田隆構造設計事務所
施工 株式会社アムザ工務店
構造 木造
階数 地上階2階
敷地面積 200.30m2
建築面積 61.62m2
延床面積 106.39m2
撮影 新建築社写真部