- デザインコンセプト
- 担当:家所亮二/株式会社家所亮二建築設計事務所
このオフィスは、目の前に広がる自然環境を室内に引き込むかのように、屋外空間を思わせるデザインとなっている。
壁に建物の外壁のような素材を用いたり、目の前の自然と連続するよう壁面緑化したりすることで、屋外空間を演出している。天井は、蔦を思わせる配管やライティングレールを剥き出しにし、床はデッキのような仕上げにしている。ペンダント照明は、木の実を連想させるように配置。塗装を施した大きな不正形のテーブルは、広場にある水盤のようなイメージで仕上げた。
そもそも、ワークスタイルやライフスタイルといった人々の振る舞いの様式は、速いスピードで変化していく。だからそれらを基準に空間を設計すると、空間の耐用年数が短くなる可能性がある。代わって私が拠り所としたのは、業種業態のカテゴリーを超えた、もっと永続的で普遍的な要素だ。それが「身体的な気持ち良さ」である。
「ビジネスの仕方やワークスタイルが変わっても、人間が気持ち良く生活や仕事をできる環境の条件はおそらく変わらない。人間は元来、自然環境の中で生きてきたのだから、そこから得る気持ち良さは、ワークスタイルよりも永続的なはずだ。だから、利用者が身体的に気持ち良いと思える環境を提供すべきではないか」、そう考えた結果、必然的に従来のオフィス空間という固定観念から離れることになり、屋外のような気持ち良さを持ったワークスペースが生まれた。海や森などの自然環境をデフォルメしたような空間が、自由でクリエイティブな発想を生む装置となる。
ここは人々を楽しませる、エンターテイメント性の高いコンテンツを生み出す企業のオフィス。社員が自由な気持ちで伸び伸び働くことができたなら、より良い成果に繋がるだろうと考えた。
所在地 | 東京都 |
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用途 | オフィス |
面積 | 207.57m2 |
竣工 | 2016年9月 |
撮影 | 梅津聡(ナカサアンドパートナーズ) |