茨城県天心記念五浦美術館
福島県との県境にある、茨城県天心記念五浦美術館は、岡倉天心や横山大観をはじめとする五浦ゆかりの作家たちの業績を顕彰するとともに、作品を展示している美術館だ。KENPOKU ART 2016の会期中は、館内でチームラボの作品を体験できる(撮影もOK!)。デジタルアートに興味がある方は外せない場所だろう。チームラボは新作「小さきものの中にある無限の宇宙に咲く花々」のほか、東洋の美をテーマとしたデジタルアート8作品を展示している。
六角堂
明治の思想家・岡倉天心が「東洋のバルビゾン」と称し、自ら設計した六角堂。晩年の天心が読書と思索にふけったと言われている。画家の横山大観や下村観山などを呼びよせ、新しい日本画の創造を目指していた。東日本大震災の際に一度流失したが、現在は創建当時の姿に再建。
飾らない美しさを表現したのは、須田悦弘の「雑草」という作品。六角堂の中に雑草が生えてる!と目を疑うが、実はこれは木でつくられた彫刻。写真で見るとまったくわからないが、実物を見ても本物そっくりだった。ちなみに床の間には花の彫刻が飾られているが、これは行ってからの楽しみに取っておいてほしい。
天心邸の庭につくられたメタリックなオブジェは、中国のジャン・ワンによる「Artificial Rock No.109」。天心はもともとこの地を選んだ理由として言われているのが、奇岩のあしらわれた中国の庭園を思わせるということ。ジャン・ワンは天心がこの地を選んだ理由になぞらえて制作した作品。
日立シビックセンター
日立市のシンボル的施設のシビックセンター。プラネタリウムや科学館、音楽ホールなどを備えており、文化発信や地域の交流の場となっている。
シビックセンターの地下スタジオに展示されている目がちかちかするようなシャンデリアは、人体に影響のないウランガラスでつくられたもの。シャンデリアはそれぞれ原子力発電を有する国に見立てられており、大小のちがいは各国が算出する原子力発電の量によって変えているという。私たちが直面している問題について考えさせられる、コンセプチュアルな作品だ。
エントランスホールに設置されたのはアーティストの和田永による、明滅するブラウン管テレビが埋め込まれたタワー型の作品。受付で渡されるラジオを持って作品に近づくと、テレビから発せられる電磁波のノイズをラジオが受信して、テレビの明滅と同期した音が鳴り響く。近づいたり遠ざかったり、ラジオの種類を変えたり、チューニング・ダイヤルを回したりしながらさまざまな音色を鳴らすことができる。
廃棄されたバスのように見えるが、中には植物が生い茂り、ウサギやモルモット、鳥、カメが暮らしている。人間と環境の関係性を問う創作活動をおこなっているアーティスト、テア・マキパーがつくる「バイオトープ(生物生息空間)」シリーズの最新作。
ちなみに11月中旬にさしかかるこの時期の日没は16時半頃。作品は屋外展示のものが多いため、16時頃までに回るのが理想だそうだ。スケジュールをしっかり組んで、たくさんの作品を回ることをおすすめする。茨城県北地域の魅力を発見するとともに、国内外のアーティストの作品を楽しめる芸術祭だ。
会期:2016年9月17日(土)~11月20日(日)
会場:茨城県北地域6市町(日立市/高萩市/北茨城市/常陸太田市/常陸大宮市/大子町)
http://kenpoku-art.jp/
- 1
- 2