今月は日本美術や漫画、メディアアートなどいろいろな方の興味を引きそうなイベントを5つご紹介します!
古典×現代2020―時空を超える日本のアート
国立新美術館で8月24日まで開催している「古典×現代2020―時空を超える日本のアート」は、江戸時代以前の絵画や仏像、陶芸や刀剣の名品を、現代を生きる8人の作家の作品と対になるよう組み合わせ、一組ずつ8つの展示室で構成される企画展です。
古典側は曾我蕭白、尾形乾山、円空、仙厓義梵、葛飾北斎など誰もが知る巨匠の作品や、鎌倉時代の仏像、江戸時代の花鳥画、刀剣の名品を選出。現代側は、川内倫子、鴻池朋子、しりあがり寿、菅木志雄、棚田康司、田根剛、皆川明、横尾忠則ら8人の作家の造形が選ばれました。
展覧会では、世界観や主題、造形、制作方法の類似を示すだけでなく、先達から得たインスピレーションや誰もが知るイメージに基づくパロディ、古い作品を取り込んだインスタレーションなど、過去の偉業に積極的に関与していく現代の作家たちの姿にも焦点を当てています。今日の優れた表現と、今なお私たちを惹きつけてやまない古典の名品の比較を通じて、単独では見えてこない新たな魅力を発見できる展覧会です。
オラファー・エリアソン ときに川は橋となる
アイスランド系デンマーク人アーティスト、オラファー・エリアソンは1990年代の初めから、写真や彫刻、ドローイング、インスタレーション、デザイン、建築など多岐にわたる表現活動を展開してきました。
東京都現代美術館で9月27日まで開催している本展では、エリアソンの代表作を含む多くが国内初公開となる作品の数々で構成されています。自然現象を再構築したインスタレーションや、光と幾何学に対する長年の関心が反映された彫刻、写真のシリーズ、ドローイングと水彩画、公共空間への介入をめぐる作品などが展示されます。
日本では10年ぶりの大規模な個展開催となるため、多くのファンはもちろん、エリアソンの作品を知らないという方にも貴重な機会になりそうです。
安野モヨコ展 ANNORMAL
『ハッピー・マニア』『花とみつばち』『さくらん』『シュガシュガルーン』『働きマン』など、少女漫画から青年漫画まで活躍のフィールドを果敢に広げ、幅広い読者に喜びと力を与える物語を届けてきた安野モヨコ。
本展は、安野モヨコのデビュー30周年を記念して、その格闘の軌跡を500点におよぶ作品原画でたどるとともに、紙版画の技法で描いた『オチビサン』や美人画などを手がける卓越した絵師としての側面も紹介します。
普通でない(unnormal)、安野モヨコ(Anno)の「ANNORMAL(アンノーマル)」な作品世界を堪能できる展覧会です。
おさなごころを、きみに
誰もが持つ「おさなごころ」を体験的に問い直し、優れた芸術表現の可能性を知る“はじめの一歩”となる企画展「おさなごころを、きみに」が、東京都現代美術館で9月27日まで開催しています。
本展は、かつてこどもだった私たち―大人が忘れてしまったクリエイティブな「おさなごころ」を思い起こし、メディアテクノロジーによる作品や映像を通して、こどもと大人が一緒に楽しめる展覧会です。触覚、身体、音と言葉、忘却、宇宙などをテーマとした空間を巡りながら、インタラクティブ体験や身体表現、音や文字による作品資料や映像上映、現代美術コレクション展示が体験できます。
本展は「こどものための現代美術展」であると同時に、大人/こどもを往来する、いわばネオテニー(幼形成熟=こどもの姿でありながら大人である)的なこころのあり方をベースにしているそう。2020年の夏から秋のひと時に、誰もが内包する「おさなごころ」を思い出し、次なる表現の可能性について考えてみてはいかがでしょうか。
場所:東京都現代美術館
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/Cherish-your-imagination/
Takahiro Matsuo「INTENSITY」
映像、照明、オブジェクト、テクノロジー、インタラクションによる光のインスタレーションを制作するアーティスト・松尾高弘の個展がポーラ ミュージアム アネックスで9月6日まで開催されています。同氏は身体や感覚に訴えかけるエモーショナルな空間インスタレーションを得意とするアーティスト。
2009年のミラノサローネでのCANON『NEOREAL』、2018年のミラノサローネではKAWAI(河合楽器製作所)「Crystal Rain」を手がけるなど、近年は数多くのラグジュアリーブランドとのタイアップによる光のアートワークを手がけています。
本展では、光や現象による「INTENSITY(=強度)」をコンセプトに、光のエネルギーやコントラストを力強く知覚体験できる作品3点を展示。新作の「SPECTRA」は世界初の技術を使った光と水のインスタレーションで、太陽光の放射角を持つ特殊な光が水を透過して反射することにより、閃光のような眩い光を放ちます。「光」「空間」「人」「インタラクション」が融合した光のアートをぜひ会場で体感してみてください。
※会期が9月6日(日)から9月22日(火・祝)まで延長(8月25日追記)
場所:ポーラ ミュージアム アネックス
https://www.po-holdings.co.jp/m-annex/exhibition/index.html
現在は感染症予防のため、会場によっては事前予約が必要な展覧会が多いですが、これまで長蛇の列や会場での混雑で見づらかったり行きづらかった展覧会が、予約制になったことでじっくり見られる機会も増えているのかなと感じます。予防対策もしっかりした上で、ぜひお出かけの予定を立ててみてくださいね。来月も編集部おすすめのイベントを紹介するのでお楽しみに!
タイトルデザイン:飯尾あすか 構成:石田織座(JDN)