見たい、知りたい!今月のイベント―2019年2月

見たい、知りたい!今月のイベント―2019年2月

お正月が明けてからの1か月はとても早く感じてしまいます…。今年もやりたいことは早めに計画して実行せねば!と心をあらたにする今日この頃、みなさま風邪など引いていないでしょうか?

今月も編集部おすすめのイベントをいくつかご紹介します!

氷になる直前の、氷点下の水は、蝶になる直前の、さなぎの中は、詩になる直前の、横浜美術館は。

言葉を用いて多種多様な表現活動をおこなう作家、最果タヒの展覧会が横浜美術館で開催されます。中学生の頃からウェブ上で言葉を発表し始め、その後、2007年に第一詩集を刊行。詩壇から高い評価を得る一方、インターネットやSNSを通した活動により、それまで詩に親しむことのなかった層をもファンに取り込み、大きな注目を集めています。

近年では美術展への参加や空間を使った言葉の発表を積極的に試みており、その活動はひとつの表現形態に留まらない多彩な展開を見せています。公立美術館での初個展となる本展では、作品と作品を受け取る側が相互作用的に響きあうことを重視する最果タヒの創作を、新作のインスタレーションとして発表。

鋭い感性で私たちの日常を揺さぶる最果タヒの表現。言葉を用いてどのような展示になるのでしょうか? 詩や小説の一文のような展示タイトルからすでに期待が高まります!

会期:2019年2月23日(土)~3月24日(日)
場所:横浜美術館
https://yokohama.art.museum/exhibition/index/20190223-526.html

クマのプーさん展

食いしん坊でおっちょこちょい、いまでは誰もが知る世界一有名なクマ「プーさん」は、1926年にイギリスで生まれました。物語を書いたA.A.ミルンと、イラストを描いたE.H.シェパード。ふたりの共作によって生まれた機知とユーモアあふれる世界は、いまも世界中の人々を魅了し続けています。

1973年、E.H.シェパードが、270点以上にもおよぶ原画や資料をイギリスのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)に寄贈。本展は、この貴重なコレクションを中心にして企画された初めての「クマのプーさん展」です。母国イギリス(ロンドン)とアメリカ(アトランタ、ボストン)を巡回し、ついに日本で開催されます。

2018年に実写版の映画も公開された「クマのプーさん」。どのように生まれ、愛されてきたのかを知ることができる展覧会にぜひ足を運んでみてはいかがでしょう?

会期:2019年2月9日(土)~4月14日(日)
場所:Bunkamura ザ・ミュージアム
https://wp2019.jp/

RCRアーキテクツ展 夢のジオグラフィー

TOTOギャラリー・間では、スペイン・カタルーニャ地方のオロットを拠点に、歴史や文化、自然に寄りそった活動を続けるRCRアーキテクツの展覧会「RCRアーキテクツ展 夢のジオグラフィー」が開催。

ラファエル・アランダ、カルマ・ピジェム、ラモン・ヴィラルタによって1988年に設立されたRCRアーキテクツ(以下、RCR)は、常に3人で対話を重ね、カタルーニャの土地に根差しながら詩情豊かな建築を生み出してきました。こうした彼らの活動が評価され、2017年にはプリツカー建築賞初の3人による同時受賞という快挙を成し遂げました。

本展ではRCRのこれまでの歩みに加え、「夢」をテーマに彼ら自身がカタルーニャ地方ガロッチャで進めている「ラ・ヴィラ」プロジェクトを紹介します。そのなかのひとつである「紙のパビリオン」は、RCRが長年にわたり影響を受けてきた日本文化との架け橋となるプロジェクトで、奈良県吉野町の人びとと協力し、吉野の木材を用いながら、RCR独自の世界観を表現しています。

©Hisao Suzuki

©Hisao Suzuki

「紙のパビリオン」の構造体の一部分や、吉野をめぐる旅を追ったドキュメンタリー映像、RCRの手によるドローイングなど多彩な展示を通じ、彼らが長い時間をかけて実現しようとしている「夢のジオグラフィー」の一端をぜひ体感してください。

会期:2019年1月24日(木)~3月24日(日)
場所:TOTOギャラリー・間
https://jp.toto.com/gallerma/ex190124/index.htm

岡上淑子 フォトコラージュ 沈黙の奇蹟

1950年代に彗星のごとく登場した岡上淑子。日本におけるシュルレアリスム運動を先導した瀧口修造に見出され、写真媒体を活用したフォトコラージュ作品によってその比類ない才能を開花させました。

作品は、戦後連合国軍の置き土産として国内にあった、『LIFE』といった海外のグラフ雑誌や、『VOGUE』のようなファッション誌を素材とするものであり、戦後復興期の時代を反映した報道写真による背景と、前景に浮かび上がる当時最先端のモードは、鮮やかな対比を描きながら独特の美や世界観を導き出して、私たちの心を揺さぶります。

《夜間訪問》©Okanoue Toshiko, 東京国立近代美術館蔵

《夜間訪問》©Okanoue Toshiko, 東京国立近代美術館蔵

本展では、国内所蔵に加えて米国ヒューストン美術館の貴重な所蔵作品が、この度初めて日本へと里帰り!新たな時代への息吹を感じさせるこのユニークな表現世界を、作家による詩篇や後に描かれたスケッチや関連資料、京都服飾文化研究財団所蔵のドレスによる参考展示などとともに紹介します。会場である東京都庭園美術館の静謐な空気感と作品がとてもマッチし、どっぷりと世界観に浸れそうな展覧会です。

会期:2019年1月26日(土)~4月7日(日)
場所:東京都庭園美術館 本館+新館ギャラリー1
https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/190126-0407_okanoue.html

JESUS RAFAEL SOTO-PENETRABLE BBL BLEU

エスパス ルイ・ヴィトン東京では、フォンダシオン ルイ・ヴィトンによる「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムの第6弾として、今は亡きアーティスト、ヘスス・ラファエル・ソトによるインスタレーション《Pénétrable BBL Bleu》を紹介。

今回エスパス ルイ・ヴィトン東京は、フォンダシオン ルイ・ヴィトン所蔵のコレクションから、象徴的な作品である《Pénétrable BBL Bleu》(1999年、ed. Avila 2007年)を公開。展示空間を覆う《Pénétrable BBL Bleu》を前に、人はただ観るだけではなく参加を迫られます。鑑賞者は作品の中を通り抜けることで、その動的で視覚的な作用に没入。《Pénétrable》シリーズを通じて、ソトは、空間は空虚な場所ではないことを私たちに想い出させ、実際に素材に触れる体験によって、目に見えないものを感じとらせます。

PENETRABLE BBL BLEU 1999年, ed. Avila 2007 <br />PVC(ポリ塩化ビニル)、金属 <br />© Adagp, Paris 2018

PENETRABLE BBL BLEU 1999年, ed. Avila 2007
PVC(ポリ塩化ビニル)、金属
© Adagp, Paris 2018

日本ではなかなか体験できないという本作。会場でインスタレーションに参加し、視界いっぱいに広がる“青(bleu)”に没入してみてください。

会期:2018年12月7日(金)~2019年5月12日(日)
場所:エスパス ルイ・ヴィトン東京
http://www.espacelouisvuittontokyo.com/ja/

ペーパーゲームキッサ

福永紙工によるプロジェクト「かみの工作所」は、2013年にはじめて「ゲーム」をテーマにした製品開発を行いました。紙のゲームは、人と人との新たなコミュニケーションを作り、そして長く愛されるものになる。そんなことをこの時に感じたと言います。

あれから6年経ち、柴田沙央里+須賀正樹、switch design、三星安澄という3組のデザイナーにより、再び「かみの工作所」らしい、紙のゲームが出来上がりました。完成した3つのゲームは、遊んでもらいたい人、遊んでもらいたい場面、伝えたい楽しさがそれぞれに違います。

「ペーパーゲームキッサ」でお茶を飲みながら、「かみの工作所」の新しい紙のゲームに夢中になれる時間を楽しんでください。

会期:2019年2月8日(金)~2月14日(木)
場所:Book & Design
https://www.fukunaga-print.co.jp/shikoutsushin/exhibition/2019/190115-2/

最近は会社からの帰り道に展示やイベントを見に行くことが多いですが、丸一日ゆっくりと使っていくつかの展示を回るとそれぞれの世界観に浸れていいなぁと思います。読者のみなさんも、ぜひ“デザイン充”や“アート充”をしてリフレッシュしてみてはいかがでしょうか?来月もお楽しみに!

構成:石田織座(JDN) タイトルデザイン:小幡彩貴