テーマは「みらいのアイデア」
デザインタッチは、「デザインで五感を楽しむ」をテーマに、2007年から毎年開催しているデザインの祭典です。12回目を迎える今年のテーマは「みらいのアイデア」。国内外の第一線で活躍するデザイナーや注目のデザインが東京ミッドタウンに集まり、これからのデザインの可能性に触れることができる17日間です。会期中に開催される15を超えるイベントの中から、編集部が注目するイベントを紹介します!

花原正基さんによる「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2018」メインビジュアル
“みらい”を感じる、五感で触れるイベント
芝生広場でおこなわれるメインイベント「PARK PACK(パークパック)」は、新しい発想で「みらいの公園」を考えるプロジェクトです。カギになるのは、四角いコンテナ。コンテナの中には、ユニークでフレキシブルな組み立て式のテーブルや椅子などのツールが収納されており、これらの多彩なツールをベースに、アイデア次第で公園が映画館やライブ会場、カフェなどさまざまな「場」に変身。期間中、芝生広場にはいくつもの異なる遊び場が登場します。楽しみながら「みらいの公園」についてみんなで考える、変幻自在のイベントです。
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PARK PACKをプロデュースしたのは、Rhizomatiks Architecture、ティー・ワイ・オー、電通ライブの3社のメンバーが立ち上げたユニット「ULTRA PUBLIC PROJECT」。“We are the city.”の旗印の下、ハード面の開発ではなくさまざまなソフトウエアの力で街づくりを考え提案しています。本企画では新たに、日建設計、プロペラ・アンド・カンパニーが参加。プロデュースを担当したRhizomatiks Architectureの齋藤精一さんにPARK PACKのコンセプトについてうかがいました。
「どこでも公園になるというテーマで、PARK PACKとネーミングしました。都市公園でパブリックスペースってあんまり面白くないじゃないですか?そういうときにコンテナの中におもちゃ箱のように、いろんなツールが詰まっているPARK PACKがそこに来るだけで面白くなります。遊びやワークショップなど、どれも直感的に遊び方がわかるものを多く詰めました」(齋藤精一さん)
なかでも子どもたちが夢中になっていた、パズルのようなツールを組み合わせてレジャーシートのようにしたり、箱をつくったりできる「Free Form Module」を企画したのは、日建設計の部署横断チーム。チームメンバーの一人である上田孝明さんにコンセプトや、ULTRA PUBLIC PROJECTが考える公園のあり方についてお聞きしました。

モジュールに空いた穴に靴ひもを通せば、簡単にモジュールがつながります
「子どもたちが遊んでいるのは梱包材にも使われている柔らかい素材でつくったモジュールというものです。三角形やひし形のモジュールをカラフルな靴ひもでかんたんに組み合わせられるようにしていて、組み合わせ方次第・人次第でいろんなアクティビティやモノが生まれます。
ULTRA PUBLIC PROJECTは、広場的に自由に使われる空間が世の中にどんどん広がるようなことを目指しています。世界中の公園を見ると、仕事している人もいれば寝てる人、ジャグリングしている人もいて、いろんなことが推奨されていますが、日本は管理側の設けたルールで公園でやってはいけないことが結構決められてしまっているんです。たとえば【寝転がり、寝込み、車座禁止】【許可なし撮影禁止】【所定の場所以外での飲酒は禁止】とか、公園なのに遊んじゃいけないのかと思ってしまうような…。何のために公園ってあるのかな?と思ってしまうような禁止事項ばかりなので、今回のPARK PACKでは、この広場が民地であり自由に使える点に着目し、いろいろなことを【OK】にしています」(上田孝明さん)

ここに書いていないことでも、やりたいことがあればスタッフに声をかけると相談に乗ってくれるそうです

組み合わせて遊べるモジュールは全部で2250枚用意されているそう。ひし形のモジュールを組み合わせていくと、ペンローズタイルというパターンのため、無限に広げられるのだとか。
こういうことやりたい!という気持ち喚起するような仕掛けをつくったというPARK PACK。会期中は毎日いろんなイベントが開催されているので、何かをしに訪れてみてはいかがでしょうか。

夜になると違う装いを見せる、PARK PACK
会期:10月19日(金)~11月4日(日)11:00~21:00
会場:芝生広場、ミッドタウン・ガーデン ※雨天荒天中止
https://ultrapublic.jp/parkpack/
ミッドタウン・ガーデンには、風と光を可視化するインスタレーションが登場。小さなミラーがたくさん付いたメッシュが、風を受けてしなやかに揺れることでいろいろな見え方になり、風が可視化されるよう。反射する光にも変化が生まれ、生きものが呼吸を楽しんでいるような、軽やかで心地のよい空間が生まれました。下記インスタグラムの動画をぜひ見てください!
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このインスタレーションを手がけたのは、林登志也さんと安藤北斗さんが2013年に設立したコンテンポラリーデザインスタジオ、we+(ウィープラス)。作品のために現地に30回も訪れ、いろいろな実験を試したというwe+のおふたりに、作品のコンセプトや見どころについてうかがいました。
「メッシュにミラーを30万枚くらい貼ってあるという、仕組みとしてはとてもシンプルなものです。映り込みの光がどんどん変わっていったり、時間によって外の光が当たるときらめいて見えたり。動力は風しか使っていませんが、自然とインタラクティブなものがあわさった作品になりました。ゆらぎや水面が動くのをぼんやり見ているのに近い感覚を味わっていただけると思います」(安藤北斗さん)
「場所的にビルとビルの間で風がすごく抜けるので、風を動力として使おうという話になりました。ベースの動きは布と一緒ですが、そこにミラーが関わってくるのでその組み合わせが面白さを生んでいるのだと思います。近寄るとミラーに自分が映り込みつつ、でもメッシュになっているから遠くの景色も透けて見えて、何を見ているのか不思議な気持ちになってくると思います(笑)。ここまで透過する感覚はあんまり思ってなかったんですが、結果的にはよかったなと感じています」(林登志也さん)
見方によってはピクセルやデジタルモニターを見ているかのような感覚にも陥りました。そのときそのときの風の具合によって変化するので、実際に現地で見てみてほしい作品です。
会期:10月19日(金)~11月4日(日)11:00~21:00
会場:ミッドタウン・ガーデン ※雨天荒天中止
プロダクトデザインへのこだわりを毎年インスタレーションで表現しているドコモ。今年のテーマは「色」で、アトリウムの高い天井に設置された機械から、スマートフォンと同じサイズの色とりどりの紙吹雪が落ちてくるというもの。シンプルな仕掛けですが、子どもから大人まで多くの人が花びらをキャッチするように楽しんでいたのが印象的でした。

紙吹雪が落ちてくるマシンは、今回のため専用につくられたそうです!
企画担当の株式会社NTTドコモの高間亮行さんに今回のインスタレーションについてうかがいました。
「このインスタレーションは、販売目的じゃない、デザインの真摯な態度を示すために毎年参加させていただいています。今年は色紙を降らす専用のマシンまでつくりました(笑)。落ちてくる色紙は、実際の携帯電話に使用されている色の中から48色を選びました。90分でひとつのサイクルで、音楽に合わせて最初は白い紙が静かに落ちてきますが、たくさん落ちてくるときや色が変わったりと、量や色にもリズムをつけています。色紙は全部で200万枚用意しているので、好きな色を持ち帰って楽しんでいただけたらうれしいです」(高間亮行さん)
昔はどんな色の携帯電話も持っていたなど、懐かしい気持ちにもなるインスタレーションです。
会期:10月19日(金)~10月28日(日)11:00~21:00
会場:アトリウム ※荒天中止
また、ほかにも会期中は、建築家の家所亮二さんが手がけたインスタレーションの「Salone in Roppongi vol.6 2018」、みらいの才能を発掘する「Tokyo Midtown Award 2018」の受賞作品展示や、GOOD DESIGN EXHIBITION 2018なども行われています。

Salone in Roppongi vol.6 2018

「Tokyo Midtown Award 2018」受賞作品展示
これからのデザインのみらいに触れることができるイベントに、ひとりで行くもよし、誰かを誘って行くもよし!デザインの秋を感じに、六本木に足を運んでみてください。
■Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2018
http://www.tokyo-midtown.com/jp/event/designtouch/