単純で美しいかたちの豊かさを愛でる、「シンプルなかたち展:美はどこからくるのか」

単純で美しいかたちの豊かさを愛でる、「シンプルなかたち展:美はどこからくるのか」

「とても官能的でエレガントな展示となった」

約4か月にわたる改修工事を経て、4月25日にリニューアルした森美術館。リニューアルオープンを記念した展覧会、「シンプルなかたち展:美はどこからくるのか」をキュレーターである南條史生氏(森美術館館長)はこう評した。

数学、機械工学、生物学、地質学、プリミティブアート、民俗芸術、伝統文化、現代美術…時代やジャンルを越えて、古今東西の単純で美しい「シンプルなかたち」だけを集めて、約130点を9つのセクションで構成。「シンプルなかたち展:美はどこからくるのか」は、美術、科学、博物学を横断するようなエクレクティックな展示内容となった。時空を越えた普遍的な美を愛でるものでもあり、南條氏いわく「昨今のコンセプト重視の現代アートに対し、感性で見る展覧会だ」。

大巻伸嗣/「リミナル・エアー スペース-タイム」2015

大巻伸嗣/「リミナル・エアー スペース-タイム」2015

19世紀から20世紀にかけて、さまざまな学問の探求の中で「シンプルなかたち」の美学が再認識され、工業製品や建築のデザインなどに多大な影響を与えた。その品格ある魅力は多くのアーティストを魅了し、近代美術の名作を数多く生み出した。日本においては、工芸品や茶道具、仏像や禅画などに同様の美学が体現してきたといえる。

同展覧会は、独自の企画展を開催するポンピドゥー・センター・メスと、エルメス財団がコラボレーションした展覧会が日本へ巡回してきたもの。ポンピドゥー・センターをはじめ、ピカソ美術館、ル・コルビュジエ財団、パリ工芸博物館など、フランスの名だたる美術館、博物館のコレクションから、本邦初公開品を含む名品が多数出展された。

展覧会の様子

展覧会の様子

展覧会の様子

展覧会の様子

日本に巡回するにあたり、森美術館のために再構成し、日本展ならではの作品も数多く並ぶ。日本文化に脈々と培われてきた単純で美しいかたちとして、仙厓の円相図、円空仏をはじめ、長次郎の黒樂茶碗や二月堂の根来のお盆など、日本の美術史を彩る名品も展示されている。

古くは先史時代の石器から、現代アーティストによるダイナミックなインスタレーションまで、「シンプルなかたち」が備える普遍的な美を心ゆくまで堪能してほしい。7月5日まで。

展覧会の様子

展覧会の様子

展覧会の様子

展覧会の様子

シンプルなかたち展:美はどこからくるのか