最優秀賞はキノコの菌糸体を生かしたおもちゃキット。2023年度グッドデザイン・ニューホープ賞の受賞作が発表

最優秀賞はキノコの菌糸体を生かしたおもちゃキット。2023年度グッドデザイン・ニューホープ賞の受賞作が発表

日本デザイン振興会が主催する「グッドデザイン・ニューホープ賞」の最終審査が11月18日におこなわれ、同日に結果が発表された。最優秀賞は、項雅文さん(武蔵野美術大学 造形構想学部 クリエイティブイノベーション学科既卒)の、家で育てるキノコの菌糸体を素材にしたおもちゃキット「代替を超えるバイオ素材―生えるおもちゃMYMORI」。

今年で2回目の開催となった「グッドデザイン・ニューホープ賞」は、クリエイターを目指す専門学校・大学・大学院の学生や、卒業後間もない若手クリエイターを対象にしたコンペ。新たなクリエイティブ人材の発掘とキャリア蓄積を支援し、デザインを通じた新たな産業・文化の発展に寄与することを目的としている。大学や専門学校などのゼミの課題制作や卒業制作、自主研究などのデザインで応募できることが特徴で、応募カテゴリーは「物のデザイン」「場のデザイン」「情報のデザイン」「仕組みのデザイン」の4つに分かれている。

今回は応募総数415点の中から78点が受賞し、うち8点が優秀賞として最終審査に進んだ。最優秀賞の「代替を超えるバイオ素材ー生えるおもちゃMYMORI」は、3歳から10歳までの子供向けのおもちゃキットで、菌糸体を栽培しておもちゃの素材をつくり、自由に遊んだ後は土に還すことができるというもの。キットを利用する体験が能動的なものづくりに繋がり、未来の生活様式へリードすることを目指す。

受賞作品は当初「物のデザイン」として卒業制作展で発表されたが、作品を鑑賞した方から「育てて遊び循環させる、一連の体験自体をデザインしている」という感想を得たことから、「仕組みのデザイン」カテゴリーでの応募にいたったという。

審査委員長はパノラマティクス主宰の齋藤精一、審査副委員長は建築家の永山祐子が担当。齋藤は、今回は身近な課題から発想した応募作品が多かった点に言及し、「目の前の課題を解決していくことは本当に大切なことだと思う。(キャリアを積むと)より多くの人を助けようという視点にシフトしていくが、今日のアイデアの出発点や熱量は忘れないで」と応募者にエールを送った。受賞者には、企業でのインターンシップやデザイナーによるワークショップへの参加などの独自のプログラムが展開される予定だ。

作品解説動画(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=4h24ejjObOk&t=11s

グッドデザイン・ニューホープ賞 公式ホームページ
https://newhope.g-mark.org/