偶然の発見からの深化、五木田智央のパワーの向かう先

五木田智央インタビュー(2)

偶然の発見からの深化、五木田智央のパワーの向かう先

「ペインター」五木田智央のパワーの向かう先

やっぱり一番原始的というか、基本のキャンバスに向かって描きたい。サイズはどうでも良いんです。ただ良い絵を描きたいだけで。

ずっとイラストレーションとアートの境目をうろうろしていて、そのふたつは絶対違うものなんですけど、僕の中では同じラインにあるというか。どちらもすごく好きなものだし。グラフィックデザインやったり、映像をつくったり、バンドやったりしましたけど、どんどん削ぎ落としていったら、やっぱり「絵」が残ったなあと思いますね。けっこう器用なタイプなので、昔はもっといろんなことをやってやると思ってたけど、人間はできることしかできないんだなあって。

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今年で46歳。これからは「絵」と対峙していくのが良いと思うんですよね。そうしていきたいです。今は自分が何者か聞かれたら、「画家」としか言いようがないですね。なんかアーティストとか芸術家と言うのは恥ずかしいんですけど。あるいは「ペインター」って感じですよ。

とかいいながら、立体はいつでもやりたいんですけどね。これまでの立体作品は、僕の絵をもとにプロの造形師の方がつくってくれたので、いつかは自分でいちからつくりたいですね。発表していないだけで、実は普段から粘土とかでめちゃくちゃつくってますよ。

でも、例えば大竹伸朗さんとかに比べたらまだまだだな。大竹さんは作品量が半端じゃないので。あの「どう考えてもつくりすぎだろ!」みたいになりたいというのはありますね。ここ数ヶ月はわりと忙しくて、ちょっと怠けたい欲求もあります(笑)。そんなこと言ってられないんですけどね、来年にはニューヨークでの展示も決まったので。

あんまり言っちゃいけないかも知れないけど、今まで描いてきて「パーフェクト!」と感じるのは1枚か2枚くらい。マジで難しいですよ!だから続けているんですけど。締め切りがあるから止めてますけど、それがなかったら、ずっと消しちゃあ描いて消しちゃあ描いてしていると思います。いつまでたっても作品を発表できないかも知れないです。

制作はスピード勝負、そして体力勝負

これまで描いたなかで一番でかいサイズが200号。だいたい1日で描きあげます。僕はめちゃくちゃ描くのが早いんですよ。もちろん、失敗したら消したりはしますけど、ある程度イメージがつかめて、できそうだなと感じてからはとにかく早い。こないだ100号の作品は1時間くらいで描きました。

それには理由があって、いつもアクリルガッシュを使って描いているんですけど、これが乾くのが早いのでだらだらやってると、もうグラデーションにならないんですよ。だからどんどん描くのが早くなっちゃう。そもそもアクリルガッシュは紙に描くときに使うものなので、本来はキャンバスに向いていない。でも、この黒はどうしてもアクリルガッシュじゃなければ出せないんですよね。絵の具を変えたこともあるんだけど、やっぱりちょっと求めているものと違う。

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大きい作品を描くのはスピード勝負だし、体力勝負。ぎっくり腰になって描けなくなったこともあるので、もうあんな痛い思いはしたくないので毎日ストレッチはやってます。あと、嫁さんから誕生日プレゼントにバランスボールをもらいました。あれは良いんですよ、自然に腹筋がつくし。

酒も飲むので身体に気は使いますね。この前も生まれて初めて動悸になって、胸がやたらとドキドキして「なんだこれ?」と。携帯で調べたら動悸だとわかって、動悸に効くツボとかも出てきたので、そこをずっと押したり(笑)。ちょっと歳をとってきたので、目が見えづらくなったりとか、やっぱり長く描き続けたいから身体は資本ですよ!

構成・文:瀬尾陽(JDN編集部) 撮影:葛西亜理沙

[the MOTHER of DESIGN] GOKITA HOUSE
会場:丸の内ハウス
会期:2015年10月26日~2015年11月15日
http://www.marunouchi-house.com/

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