かゆいところに手が届き、プロ並みのクオリティが手に入る
――元デザイナーの目線から見て、アウトプットのクオリティについてはどうでしょうか?
テンプレートから簡単に制作できるからクオリティが低いかと言えば、決してそんなことはないと思います。細かいところで、かゆい所に手が届くような機能が多いんですよね。
例えば、円などのオブジェクトに沿ってテキストを打ち込んだり、頻繁に使用する色をカラーパレットに保存しておいたり、スポイトで色を抽出したり……Illustratorなどのプロ向けツールに似た機能も多く、出来上がりに不満はないですね。
あと、特に便利だなと思ったのは、テキストに対してフレームをつける機能。テキストが変わると、自動的にフレームのサイズや位置も変わるので、すごく楽です。装飾のパターンも豊富で、いいところを抑えてくれているなぁと(笑)。
――「こういう機能があったらいいのに」と、感じる点はありますか?
テンプレートが豊富なのが魅力のひとつだと思いますが、現状は少し海外向けのものが多い印象なので、日本人に馴染みのあるテンプレートが今後もっと増えていくと、より使いやすくなると思います。写真のフィルターなんかも、簡単にフィルムっぽくできたりすると、スマホのカメラアプリに慣れている方などは使いやすいかもしれないですね。
自分に合ったツールで誰に何を伝えるか
――Adobe Expressを使ってチャレンジしたいことがあれば教えてください。
アニメーションをつくってみたいですね。Instagramのストーリー用のテンプレートもあるので、それを活用しながらモーショングラフィックにトライしてみたいなと。大学入試に関する情報はどうしても複雑でわかりにくくなりがちなので、受験生がパッと見てわかりやすいようなグラフィックに仕上げたいと思っています。
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あとは、Web制作などのシーンでは、Adobe Expressでつくったイメージをもとに、外部のパートナーさんにデザインを起こしてもらう、というような活用方法もできそうですよね。現在はおもにSNS用のデザイン作業で使っていますが、それ以外のシーンでの活用方法も積極的に考えていきたいなと思っています。
――最後に、美大のデザイン系学科を卒業し、教育分野に携わる福島さんとして、デザインを学ぶ学生に伝えたいことがあればぜひお願いします。
いままで一部の人しか扱えなかったことや難しかった作業が、誰でも簡単にできるようになっています。そこで「デザイン学科だから初心者向けのアプリは使わない」とはねのけるのではなく、まずはどんなツールも使ってみるという姿勢でいてほしいです。
一番大切なのは、ものづくりを通じて誰に何を伝えたいのか。そこさえブレなければ、使うツールはなんだっていい。いろいろなツールを触ってみて、自分に合ったものを見つけてほしいと思います。
■Adobe Express
https://www.adobe.com/jp/express/
文:岡嶋航希(ランニングホームラン) 撮影:西田香織 取材・編集:石田織座(JDN)
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