ヨシダミナコの写真展「samskeyti」が、ワコールスタディホール京都内のギャラリーにて開催される。

ヨシダミナコは1981年に生まれ、2002年に第25回キャノン写真新世紀にて優秀賞を受賞。その後2007年までコンスタントに作品を発表、9年間のブランクを経て2016年に作品制作を再開した。

ヨシダにとって写真は“誰かにあてた手紙”と言う。2002年に病床の父をテーマにした「向かうところ」を、父の看病をする母を撮ることで綴った。母の写真が残ったことによって、父を撮れなかったこと、父と向き合えなかったことへの後悔が彼女の中に残った。

十数年後、ヨシダは旅先のアイスランドの空の下に建つ教会の姿に父を見出した。雄大な自然の中にぽつんと建つ教会、それらは孤立して建っているように見えて実はアイスランドのコミュニティの要として存在しており、家族の要として存在していた父の姿と重なった。その教会を写し出した「samskeyti」では、はるか遠くに、または触れられるほどの距離に建つ教会が写されており、その距離感は父への距離感と読みとることができる。

「samskeyti」とはアイスランド語で合流点、接合点を表す言葉。彼女のなかで同作は「向かうところ」との合流点かもしれない。本展では「samskeyti」に加え、「向かうところ」も展示される。