台湾人デザイナーの田修銓（ニール・ティエン）が手掛ける「The Color」は、印刷表現における啓発と普及を図るために企画された巡回展だ。2016年から2017年にかけて、台北と台中をまわり、国内外のデザイン関係者や一般の来場者から好評を得た。日本で開催される同展では、泊まれるギャラリー「NIBUNNO」のグランドオープン企画展第1弾として、通常目にすることのない印刷の加工過程が紹介される。

ビジュアルデザインにおいて、色とは最も必要不可欠なエレメントだ。同展で使用しているファインペーパー「NTラシャ」は、台湾では「元素紙」と称されている。淡色から原色まで、100種を超える豊富な色数を誇る「元素紙」は、印刷用紙なら白物という一般の台湾人たちが抱いていた固定概念を鮮やかに覆した。ニール・ティエンは、定評のあるこの「NTラシャ」と多彩な印刷技法を組み合わせ、そこから生み出される数々の色彩美を、実物サンプルと製造プロセスで提示する。同展を通して紙が持つ豊かな発色性、印刷というメディアの魅力と表現の広がりを感じることができるだろう。

「印刷の「版」というのはどういうものだろう？」、「印刷加工のプロセスって、何をするんだろう？」。交差し合う色と色とが放つ無限の可能性と、日本生まれの「NTラシャ」の魅力をぜひ再発見していただきたい。