北川健次:黒の装置-記憶のディスタンス

北川健次は、1970年代に銅版画家として作家活動を開始し、写真製版によるエッチングをおもな技法として用いて、独特の緊張感や高い精神性をまとった作品をつくり出してきた。作家の詩的想像力と銅板という金属とのせめぎ合いの中から立ち上がってきたかのような濃密かつ硬質な画面は、駒井哲郎や棟方志功、池田満寿夫といった、日本を代表する版画家たちの称賛を早くから受け、彼の名を広く世に知らしめた。
その後、彼は版画制作からいったん距離を置き、「ポエジーの形象化」ともいうべき方法論を新たなメディアを通してより先鋭化するため、1980年代からオブジェ、1990年代からコラージュ、2000年代から写真といった新しい表現領域を切り拓き、さらには、美術作品にとどまらず詩作や評論にいたるまで、その活動は大きな広がりを見せることとなった。一方版画にも、こうした広がりから逆に触発を受ける形で、1990年代半ばから再び本格的に取り組み、版画集の形式を中心に旺盛な制作活動をおこなってきた。卓越した技巧によりイメージの濃密さや強度をいっそう増した。
このように多面体的宇宙を形成してきた北川健次の創作に共通しているのは、観者の内面に働きかけて記憶表象や想像力を喚起する「装置」として作品を捉えるという思想であり、これを自身の表現活動を貫く通奏低音として意識しながら、彼はさまざまなメディアを横断してきた。
本展では、北川健次の硬質に輝く多面体のような創作の中から、その原点である銅版画を中心に、近年の表現の中心であるオブジェを加えた代表作が展示され、彼の作品世界を観ることができる。本展は来場者にとって、自らの内面に潜むイメージを呼び起こし、想像力をかき立てるような魅惑的な視覚体験となるだろう。
開催期間 |
2018/06/16(土)~2018/09/09(日) ※イベント会期は終了しました
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時間 | 10:00~17:00(入館は閉館15分前まで) |
休館日 | 月曜日(7/16を除く)、7/17 |
入場料 | 一般300円/学生200円/小学生以下と65才以上および障害者手帳をお持ちの方は無料 |
参加アーティスト | 北川健次 |
会場 |
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会場電話番号 | 0248-79-4811 |
会場URL | http://www.dnp.co.jp/gallery/ccga/ |
詳細URL | http://www.dnp.co.jp/CGI/gallery/schedule/detail.cgi?l=1&t=3&seq=00000732 |