Drawing Social Impact キース・ヘリング:社会に生き続けるアート

1987年、キース・ヘリングは20歳で故郷のペンシルバニア州からニューヨークへ渡った。当時のニューヨークは不況下で暴力や差別が蔓延する反面、ヒップホップやグラフィティなどのストリートカルチャーがつくり出される源泉に溢れていた。その街でカウンターカルチャーに大きな影響を受けたヘリングは、激動するニューヨークで、そして世界中の都市を駆け巡りながら、アートを通しさまざまなメッセージを生涯発信し続けた。
ヘリングが社会とのコミュニケーションとしてまず初めに着目したのが、ニューヨークの地下鉄でのサブウェイドローイング制作だった。誰もが使う地下鉄構内の看板は絶好のパブリックスペースだっだ。黒い紙が貼られた空き看板に白いチョークで素早く描き上げるグラフィティには、ウィットに富んだメッセージがダイレクトに表現された。その後はポスターアートにも着目し、核放棄や反アパルトヘイト、エイズ予防、LGBTの認知など、社会的な問題にも取り組んだ。
社会における階級や地位、性別や人種、宗教や文化の違いに関係なく、誰もが触れることのできるアートを追求したヘリングの作品は、テロや戦争の耐えない現代社会へ時代を超えてパワフルなメッセージを投げかけ続けている。
本展では、新しく収蔵作品に加わる1990年の作品「オルターピース:キリストの生涯」が初公開される。これは1990年2月16日に、31歳でエイズにより亡くなる数週間前に完成した最後の作品だ。教会の祭壇のためのオルターピースとして、現在世界の教会や美術館9か所に収蔵されているが、ヘリングの追悼式が行われたニューヨークのセント・ジョン・ザ・ディヴァイン大聖堂に今も飾られている。死を目前にしたヘリングの平和への願いと希望、そして生命の力が刻まれた永遠の作品である。
【関連イベント】
●学芸員によるギャラリーツアー
日時:毎週日曜日 14:00~(40分程度)
開催期間 |
2018/02/09(金)~2018/11/11(日) ※イベント会期は終了しました
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時間 | 9:00~17:00 |
休館日 | 会期中無休 |
入場料 | 一般1,000円/シニア900円/学生700円/13~18歳500円 |
参加アーティスト | キース・ヘリング |
会場 |
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お問い合わせ | 0551-36-8712 |
会場URL | http://www.nakamura-haring.com/ |
詳細URL | http://www.nakamura-haring.com/exhibition/ |