「グリーンランド」中谷芙二子+宇吉郎展

©Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès ©Nacása & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès

霧のアーティストとして国際的に活躍する中谷芙二子と、その父・宇吉郎の展覧会「グリーンランド」が、銀座メゾンエルメス フォーラムで開催される。

「雪は天から送られた手紙である」という言葉で有名な科学者・中谷宇吉郎は、1936年に世界で初めて人工的に雪の結晶をつくり出したことでも知られている。科学の真理を大自然と人間との協働作業の中に見出した宇吉郎の姿勢は、霧を媒体とした芸術表現を試みる芙二子に強く影響を与え続けている。

1933年、宇吉郎の次女として生まれた中谷芙二子は、初期の絵画制作を経て、1966年にはニューヨークにて芸術と科学の協働を理念とした実験グループ「E.A.T.」に参加、70~80年代は日本を拠点にビデオ作品の制作や発表も行ってきた。作家の代名詞である、水を用いた人工霧による「霧の彫刻」は、1970年の大阪万博ペプシ館にて初めて発表された。以降、世界各地で80作品を越えるインスタレーションやパフォーマンスなどを手がけている。また、建築・音楽・ダンス・光といった他ジャンルのアーティストとも共同制作を行っている。

本展は、晩年の宇吉郎が雪氷研究に打ち込んだ地「グリーンランド」をタイトルに掲げ、会場のガラスブロックを氷の大地に見立て、室内での霧の実験に挑むものである。「氷のことは氷に聞かないと分からない」–宇吉郎が遺したユーモラスな言葉の数々は、雄大な自然と溶け合うときの科学以前の心身の感動と、対象に寄り添う自然科学研究の厳しさ、尊さを私たちに伝えている。父が1957年から4度の夏を北極圏で過ごす頃、芙二子はパリとマドリードで絵画を学び、その後の作家表現の基盤を養いつつあった。当時描かれた太陽や雲といった自然科学的なモチーフには、場所を隔てて響き合う2つの感性を見出すことができるだろう。

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開催期間 2017/12/22(金)~2018/03/04(日)
※イベント会期は終了しました
時間 11:00~20:00(日曜日は19:00まで/いずれも入場は閉館30分前まで)
休館日 不定休(エルメス銀座店の営業時間に準ずる)
入場料 無料
参加アーティスト 中谷芙二子、中谷宇吉郎
会場
  • 銀座メゾンエルメス フォーラム
  • 東京都中央区銀座5-4-1 8F
会場電話番号 03-3569-3300
会場URL http://www.maisonhermes.jp/ginza/
詳細URL http://www.maisonhermes.jp/ginza/le-forum/archives/405275/