渡邊耕一の個展「Moving Plants」が、資生堂ギャラリーで開催される。

渡邊は10年以上の歳月をかけ、「イタドリ」という雑草の姿を写真に撮り続けている。「スカンポ」とも呼ばれるこの植物は、日本各地に生息し、古来より薬草あるいは食材としても知られている。しかし約200年前に、当時長崎に滞在したシーボルトによって、園芸用のアイテムとして日本からヨーロッパに持ち出されたことをきっかけに、その強い生命力から世界各地に広まり、今日ではその土地の生態系を変えてしまうほど繁殖していることはあまり知られていない。

渡邊は、北海道の風景を撮影する中で「イタドリ」に偶然に出会って以来、この雑草の生態のあり様を具にリサーチし、自身の眼で確かめる旅を続けている。古今東西の植物の文献に当たりながら、現地の植物学者とも連絡を取り合い、これまでイギリス、オランダ、ポーランド、アメリカ合衆国などの藪の中へと分け入ってきた。

本展では、渡邊の「Moving Plants」シリーズから18点の写真作品、2点の映像作品が中心に展示される。渡邊がこのプロジェクトを通じて捉えた「イタドリ」の姿は、強い侵略性のある植物でありながらも、自然の有機的な美しさを湛えた底知れぬ生命力を感じさせる。

【関連イベント】
●対談「渡邊耕一×長谷川新（インディペンデント・キュレーター）」
日時：2018年1月13日（土）　14:00～16:00
会場：ワードホール
定員：60名
参加費：無料
※申込み多数の場合は抽選

●対談「渡邊耕一×山内朋樹（京都教育大学美術科講師、庭師）」
日時：2018年3月3日（土）　14:00～16:00
会場：ワードホール
定員：60名
参加費：無料
※申込み多数の場合は抽選